遠藤ウメ

　1989年６月、東京都杉並区の遠藤ウメさんが殺害され、同人の所有地を、詐欺師が売却した。　その所有権移転の登記を申請した台東区の司法書士は、同人のなりすましを見抜けず、責任を感じて、自ら司法書士バッチを外した。
　本人が司法書士を辞めている以上、懲戒処分の対象とはならないが、プロの詐欺師の偽造を見抜くことは困難であり、仮に、登記済証等に不審な点があったとしても、司法書士の独断で、何億もの取引を中止させることは、後日、偽装でないことが判明した場合の損害賠償責任等を鑑みると、難しく、遠藤ウメさんの登記を申請した司法書士も、やむを得なかったと思われる。