睡蓮 みどり　（1987年10月26日生）

　早稲田大学第二文学部に在学中の2009年にグラビアデビューし，俳優，写真モデルとして活動している睡蓮みどり（すいれん　みどり）は，7年前，映画監督榊英雄から演技指導という名目で性行為を強いられた。

　2022年４月発売の図書新聞３５３７号での連載「シネマの吐息」に「映画界における性暴力被害の当事者のひとりとして」によれば，榊英雄監督が新しく睡蓮みどりの役を作るという話になって，それから演技指導のようなものが始まり，やはり監督の指示は絶対というのが，頭の中にあって，やれって言われたことができないと役者として悔しい気持ちもあり，判断がつかないまま，性行為が起こってしまったという。

　榊英雄との出会いは居酒屋で，その時，睡蓮みどりが，「オーディションあったら呼んでくださいね」と言うと，その後すぐにラインが来て，榊英雄の事務所がある赤坂のマンションに呼ばれた。　ドアを開けると，榊英雄以外は他に誰もいなかった。　ヌードもある役ということで，誰もいないマンションで服をすべて脱ぐように言われた。　演技だと思って，言われた通りに全裸になったら，慣れた手つきで榊英雄は，睡蓮みどりの豊満なバストを鷲づかみにして，ねじり上げ，さらに自らズボンを脱いで，まだ濡れきっていない陰部に，激しく挿入してきた。 　嫌がる睡蓮みどりに対し，榊英雄は，まだ演技指導は終わっていないと，睡蓮みどりを四つん這いにさせ，ペニスを挿入したまま，アナルにも指を入れ，かき回した。　さらに，赤いロープを取り出し，睡蓮みどりのバストの上下に回して，乳房をはさむように縛ると共に，腰にベルトのようにまいたロープを，Ｔの字にして股間に回して食い込ませ，きつく縛った。　Ｔバックのロープを持って，足が浮くほど釣り上げると，赤いローブはさらに強く股間を圧迫し，その痛みに睡蓮みどりは女優としての試練を感じていた。

　断ったり拒んだりすれば，クビにされるのではないかといった不安を覚え，沈黙を強いられた。　こうした事例を指して，枕営業などという加害者に都合のいい言葉を使う光景も繰り返されてきたが，性暴力や二次加害が，当事者だけの問題ではないと広く認識されること望んでいるという。

　蓮みどりの出演作品
　　@　『青春群青色の夏』　（2015年，田中佑和監督）
　　A　『断食芸人』　（2016年，足立正生監督）
　　B　『裸の劇団〜いきりたつ欲望〜』　（2016年，榊英雄監督）　裸で古典演劇を演じるというアングラ劇団を舞台にする青春群像劇
　　C　『第九条』　（2016年，宮本正樹監督）
　　D　『東京の恋人』　（2019年，下社敦郎監督）

　2022年3月10日発売号の「週刊文春」では，榊氏から「性行為を強要された」と語る4人の女優の告発を報じられ，同記事の電子版が発売された9日，映画「蜜月」は公開中止が発表された。

　4人の女優のうちの一人が女優によると，出会いのきっかけは，友人に榊氏を紹介されたことだった。　「その友人は榊と家族ぐるみで付き合いをしていたので，安心してしまった」　やがて，榊氏の撮影などの手伝いをするようになった。　そして2016年8月，E子さんは榊氏から「短編映画の主演に起用したい。フィッティングをしよう」と誘われ，2人だけで会うことになった。　居酒屋で2時間ほど過ごし，店を出ると「次，行こうか」と誘われた。　向かった先はラブホテル『S』だった。

　「所属事務所には榊の紹介で入っていたので，ここで断ったらクビになるかも，色々な人に私の悪口を言われて仕事がなくなるかも，などと頭を過りました」　結局2人でホテルに入った。　体型確認のため下着姿になれ，と言われ従ったE子さんは，榊氏と距離を取り，「ここまでしかできません！」と何度も伝えた。

　そんな彼女を榊氏は「自分は男性機能が役に立たない。妻とも長い間，していないんだ」と言って抱きしめた。　「すごく気持ち悪かったです。どうしてもされたくなくて，ちょっと努力したらそれで帰してもらえるんじゃないかと考えて彼の性器を触り，口でしました。その瞬間はそれしか方法が思いつかなかった」　だが次の瞬間，ベッドに放り投げられた。　避妊はされなかった。何度も「絶対にしません！」と拒んだが，榊氏は止まらなかった。「1分ほどで事が終わり，私が『コンドームしなかったですね。もうすぐ生理が始まるとは思うんですけど……』と言ったら『ちょうどよかったじゃん』と言い放ちました」

　その後，E子さんは鬱症状に陥り，療養生活を余儀なくされた。

　映画監督の榊英雄（53）は，2016年5月23日夜，港区のマンションの一室で，演技指導を装い20代の女性に性的暴行をした疑いで2024年２月21日，送検された。 　捜査関係者によると，榊英雄の自宅などから押収されたSDカードから，複数の女性とのわいせつな動画が50点以上見つかったことがわかった。 　中には，榊英雄からの被害を訴える女性も映っていたことから，警視庁は榊英雄が監督の立場を利用して犯行を繰り返していたとみて，余罪を調べている。