(1705A) 《売買の先取特権》
※←　不動産の売買によって生じた債権には先取特権が認められており（民法328条），当該不動産の賃料に物上代位することができる（民法304条1項）。
　不動産の売買の先取特権は，不動産の代価及びその利息に関し，その不動産について存在する（民法328条）。
　先取特権は，その目的物の売却，賃貸，滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても，行使することができる。ただし，先取特権者は，その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない（民法304条1項）。

(1705B) 《賃料》
※←　抵当権者は抵当不動産の賃料について物上代位をすることができる（民法372条，民法304条1項）。
　第296条，第304条及び第351条の規定は，抵当権について準用する（民法372条）。
1 先取特権は，その目的物の売却，賃貸，滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても，行使することができる。ただし，先取特権者は，その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても，前項と同様とする（民法304条）。

(1705C) 《火災保険》
※←　抵当権者は抵当不動産の火災保険金について物上代位することができる（民法372条，民法304条1項）。
　第296条，第304条及び第351条の規定は，抵当権について準用する（民法372条）。
1 先取特権は，その目的物の売却，賃貸，滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても，行使することができる。ただし，先取特権者は，その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても，前項と同様とする（民法304条）。

(1705D) 《留置権》
※←　物上代位性は，優先弁済的効力をもつ担保物権（抵当権・質権・先取特権）についてのみ認められる性質である。担保の目的物自体を金銭に換えて弁済に充てることができなくなる場合に備えて用意されている手段なのである。
留置権は，物を留置することによって弁済を促す担保物権に過ぎず，金銭に換えて弁済に充てることができない。したがって，物上代位は認められていない。