| 敵近而靜者、恃其險也、 |
| 敵近くして静かなる者は其の険を頼むなり。 |
| 近くにいる敵が動じていないのは、地形の険しさを頼みとしているからである。 |
| 遠而挑戰者、欲人之進也、 |
| 敵近くして戦いを挑む者は人の進むを欲するなり。 |
| 遠くにいる敵がわざわざ攻めてくるのは、こちらが進軍することを望んでいるからである。 |
| 其所居易者、利也、 |
| 其の居る所の易なる者は利するなり。 |
| 平地に布陣しているのは、エサをちらつかせて誘い出そうとしているのである。 |
| 衆樹動者、來也、衆草多障者、疑也、 |
| 衆樹の動く者は来たるなり。 衆草の障多き者は疑なり。 |
| 木々がざわめくのは、敵が攻めてきたしるしである。 草がたくさん覆いかぶせてあるのは、伏兵の存在を疑わせるための目くらましだ。 |
| 鳥起者、伏也、獸駭者、覆也、 |
| 鳥の起つ者は伏なり。 獣の駭く者は覆なり。 |
| 鳥が飛び立つのは伏兵がいるのだ。 獣が驚くのは、敵の奇襲があるのだ。 |
| 塵高而鋭者、車來也、卑而廣者、徒來也、 |
| 塵高くして鋭き者は車の来たるなり。 低くして広き者は徒の来たるなり。 |
| ほこりが高く上がってその前方がとがっているのは、戦車隊が攻めてくるのだ。 ほこりが低く垂れて広がっているのは、歩兵部隊だ。 |
| 散而條達者、樵採也、少而往來者、營軍也、 |
| 散じて条達する者は樵採なり。 少なくして往来する者は軍を営むなり。 |
| 散らばって細長いのは薪を集めているのだ。 ほこりが少なくあちこち往来しているのは、軍営を作ろうとしているのだ。 |