13 用間篇  6/6、間者を使いこなせるのは聡明な君主のみ

昔殷之興也、伊摯在
昔、殷の興こるや 伊摯 に在り。
その昔、殷の国が起こった時には、後の名宰相イシは、敵国のにいた。
周之興也、呂牙在
周の興こるや、呂牙 に在り。
周の国が興った時は、後の名宰相リョガは、敵国のにいた。
故惟明君賢將、能以上智爲間者、必成大功、
故に惟だ明君賢将のみ能く上智を以て間者と為して、必ず大功を成す。
これは聡明な君主や司令官のみが知恵のある人物を取り込んで間者に仕立てられるという実例であり、こういった場合、必ず大成功を収めている。
此兵之要、三軍之所恃而動也、
此れ兵の要にして、三軍の恃みて動く所なり。
間者の存在は軍隊の要であり、全軍がそれに従って行動するのである。