| 三 責任の判断・任の要素・責任阻却事由 | |
三 責任の判断・任の要素・責任阻却事由１．責任の判断責任の判断は，構成要件に該当する違法な行為を行ったことについて，その行為者を非難することができるという評価です。それは，法規範に基づく無価値判断である点では違法性の判断と同様ですが，具体的な行為者を標準としている点で，社会の一般人を標準として行われる違法性の判断とは異なっています。責任の判断にも，責任の存否の判断とともに，責任が存在する場合にはそれがどのくらい重いのかという責任の程度の判断が含まれます。責任の程度は，犯罪に対する量刑の基礎として，重要な意味をもっています。また，責任の存否の判断においては，違法性の存否の判断が違法性阻却事由の有無を中心として行われるのとは違って，積極的に責任要素の存否が考慮されなければなりません。 ２．責任の要素責任の要素としては，責任能力，故意・過失および期待可能性があげられます。責任要素としての故意・過失については，構成要件的故意・構成要件的過失との混同を避けるために，責任故意・責任過失と呼ぶことにします。責任能力と責任故意および期待可能性が存在するときは，故意犯が成立し，また，責任能力，責任過失および期待可能性が存在する場合には，過失犯が成立するのです。３．責任阻却事由ある事実が存在することによって責任が阻却される場合，その事実を責任阻却事由といいます。責任無能力，期待可能性の欠如などがこれにあたります。 |
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