供託

◎

　供託物の払渡請求に関する次の記述中，正しくないものはどれか。

１

　弁済供託における供託者は，供託によって質権又は抵当権が消滅した場合を除き，被供託者が供託を受諾せず又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は，供託物の取戻しを請求することができる。

２

　供託者は，供託の錯誤を理由として供託物の取戻しを請求する場合には，その事実を証する書面を払渡請求書に添付しなければならない。

３

　被供託者は，供託の原因が消滅したときは供託の原因が消滅したことを証する書面を払渡請求書に添付して，供託物の還付を請求することができる。

４

　反対給付を受けるべき債務の弁済供託がされた場合において，被供託者が供託物の還付を請求するときは，その反対給付を履行したことを証する書面を払渡請求書に添付しなければならない。

５

　還付を受ける権利を有することが供託書の記載により明らかである場合には，被供託者はその権利を証する書面を払渡請求書に添付しなくても，供託物の還付を請求することができる。

　正　解　　　３

◎	供託物の払渡請求に関する次の記述中，正しくないものはどれか。 (4512) 【供託物の払渡請求】 **
１	弁済供託における供託者は，供託によって質権又は抵当権が消滅した場合を除き，被供託者が供託を受諾せず又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は，供託物の取戻しを請求することができる。正しい。 (4512A) 《有効判決－取戻し》　弁済供託における供託者は，供託によって質権又は抵当権が消滅した場合を除き，被供託者が供託を受諾せず又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は，供託物の取戻しを請求することができる（民法496条1項）。 (4512A) 《有効判決》 ◎←　被供託者は，供託者の取戻請求権の行使を防ぐため，供託受諾を証する書面または供託を有効と宣言した確定判決の謄本を提出することができる。　そこで，　弁済供託の債権者は，供託所に対し供託を受諾する旨を記載した書面又は供託を有効と宣告した確定判決の謄本を提出することができる（規則47条）。＝　債権者が供託を受諾せず，又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は，弁済者は，供託物を取り戻すことができる。この場合においては，供託をしなかったものとみなす（民法496条1項）。
２	供託者は，供託の錯誤を理由として供託物の取戻しを請求する場合には，その事実を証する書面を払渡請求書に添付しなければならない。正しい。 (4512B) 《錯誤による取戻し》　供託者は，供託の錯誤を理由として供託物の取戻しを請求する場合には，その事実を証する書面を払渡請求書に添付しなければならない（規則25条本）。 (4512B) 《錯誤による取戻し》 ※←　供託物の取戻しをしようとする者は，供託物払渡請求書に取戻しをする権利を有することを証する書面を添付しなければならない。ただし，供託書副本の記載又は副本ファイルの記録により，取戻しをする権利を有することが明らかである場合は，この限りでない（規則25条本）。
３	被供託者は，供託の原因が消滅したときは供託の原因が消滅したことを証する書面を払渡請求書に添付して，供託物の還付を請求することができる。誤り。 (4512C) 《供託原因の消滅》　［供託者：×被供託者］は，供託の原因が消滅したときは，供託の原因が消滅したことを証する書面を払渡請求書に添付して，供託物の［取戻：×還付］を請求することができる。 (4512C) 《供託原因の消滅》 ※←　これに対し，供託原因の消滅による，被供託者からの還付請求はあり得ない。
４	反対給付を受けるべき債務の弁済供託がされた場合において，被供託者が供託物の還付を請求するときは，その反対給付を履行したことを証する書面を払渡請求書に添付しなければならない。正しい。 (4512D) 《反対給付》　反対給付を受けるべき債務の弁済供託がされた場合に，被供託者が供託物の還付を請求するとき，その反対給付を履行したことを証する書面を払渡請求書に添付しなければならない（供託法10条,規則24条3号）。 (4512D) 《反対給付》　＝　(6312B) ※←　供託当事者間に実体上の同時履行の関係がある場合には，その反対給付がなされたことを供託官に証明しなければ，供託制度の適正を担保することができないから。
５	還付を受ける権利を有することが供託書の記載により明らかである場合には，被供託者はその権利を証する書面を払渡請求書に添付しなくても，供託物の還付を請求することができる。正しい。 (4512E) 《還付権証書》　還付を受ける権利を有することが供託書の記載により明らかである場合には，被供託者はその権利を証する書面を払渡請求書に添付しなくても，供託物の還付を請求することができる（規則24条1項1号）。 (4512E) 《還付権証書》 ※←　たとえば弁済供託の場合，供託書副本や副本ファイルに被供託者の権利内容が明確にされていることが多いので，特に還付を受ける権利を有することを証する書面を添付することを要しない。 ① 還付を受ける権利を有することを証する書面。ただし，供託書副本の記載又は副本ファイルの記録により，還付を受ける権利を有することが明らかである場合を除く（規則24条1項1号）。
	正　解　　　３