供託

◎

　弁済供託に関する次の記述のうち，正しいものはどれか。

１

　毎月末日支払う約束の家賃を７月１日に７月分を提供したが拒絶され，７月10日に供託する。

２

　毎月末日限り翌月分前払にて支払う約束の家賃を，８月31日に10月分を提供してことわられた場合は供託できる。

３

　毎月末日に10,000円支払う約束の家賃を，７月31日に３月分からの50,000円を提供してことわられ８月10日に供託する。

４

　賃貸人が死亡し，賃貸建物が共同相続人甲，乙，丙に相続された場合は，家賃を甲のみに全額提供してことわられれば供託できる。

５

　家屋明渡訴訟中であれば家賃を受取らない事が明らかであるから，提供しないで供託できる。

　正　解　　　５

◎	弁済供託に関する次の記述のうち，正しいものはどれか。 (4612) 【弁済供託】 **
１	毎月末日支払う約束の家賃を７月１日に７月分を提供したが拒絶され，７月10日に供託する。誤り。 (4612A) 《弁済期到来前》　毎月末日支払う約束の家賃を７月１日に７月分を提供したが拒絶されても，７月10日に供託［することはできない］。 (4612A) 《毎月末日払》 ※←　弁済期到来前の家賃の提供は，債務の本旨に従ったものとは認められないから。　無効な供託となる。
２	毎月末日限り翌月分前払にて支払う約束の家賃を，８月31日に10月分を提供してことわられた場合は供託できる。誤り。 (4612B) 《期限の利益の放棄》　毎月末日限り翌月分前払にて支払う約束の家賃を，８月31日に10月分を提供して断られた場合でも供託［できない］。 (4612B) 《将来の家賃》 ※←　賃料債務が支払日前で，具体的な債務となっていないので，賃借人は期限の利益を放棄することも認められないから。
３	毎月末日に10,000円支払う約束の家賃を，７月31日に３月分からの50,000円を提供してことわられ８月10日に供託する。誤り。 (4612C) 《遅延損害金》　毎月末日に10,000円支払う約束の家賃を，７月31日に３月分からの50,000円を提供して断られても，８月10日に供託［することはできない］（昭38.5.18民甲1505号認可）。 (4612C) 《遅延損害金》 ※←　債務者は，履行期に債務の本旨に従った履行をしなければならず(民法493条)，履行期を徒過した場合には，遅延損害金とともに提供するのでなければ，債務の本旨に従った提供があったとは言えないから。
４	賃貸人が死亡し，賃貸建物が共同相続人甲，乙，丙に相続された場合は，家賃を甲のみに全額提供してことわられれば供託できる。誤り。 (4612D) 《分割債務》　賃貸人が死亡し，賃貸建物が共同相続人甲，乙，丙に相続された場合，家賃を甲のみに全額提供して断られても供託［できない］（昭35全国供託課長会同決議）。 (4612D) 《分割債務》　＝　(0510B) ※←　賃借人は，相続人甲，乙，丙の各相続分に応じた賃料債権を各人に提供して受領を拒否された場合に，はじめて全額の供託ができる。　相続人全員を供託者として，１件の弁済供託をすることはできないので（最判昭29.4.8），相続人ごとに各別に供託することを要する（昭45.12.22民甲4760号決議）。
５	家屋明渡訴訟中であれば家賃を受取らない事が明らかであるから，提供しないで供託できる。正しい。 (4612E) 《不受領意思明白》　家屋明渡訴訟中であれば家賃を受取らないことが明らかであるから，提供しないで供託できる（昭37.5.31民甲1485号回答）。 (4612E) 《不受領意思明白》 ※←　不受領意思明確な場合，債務を履行しないことにつき，債務者に帰責事由がないので，債務者は弁済の提供をすることなく，直ちに供託できる（昭37.5.31民甲1485号決議）。
	正　解　　　５