供託

◎

　供託金の払渡請求に関する次の記述中，正しいものはどれか。

１

　弁済供託金につき被供託者が供託所に対して供託を受諾する旨を口頭で申し出た場合には，供託者は，不受諾を理由として取房請求をすることはできない。

２

　供託書に供託により消滅すべき抵当権の記載がある場合でも，供託者は，不受諾を理由として取戻請求をすることができる。

３

　保証として供託した供託金の利息は，元本と同時にでなければ払い渡すことができない。

４

　弁済供託金の元金の受取人と利息の受取人とが異なる場合において，元金を払い渡したときは，利息請求権は，元金の払渡しの時から10年の経過により時効消滅する。

５

　供託金取戻請求権を差し押さえた者は，供託所に対して差押命令が送達された時から供託金の払渡しを請求することができる。

　正　解　　　４

◎	供託金の払渡請求に関する次の記述中，正しいものはどれか。 (5813) 【供託金の払渡請求】 **
１	弁済供託金につき被供託者が供託所に対して供託を受諾する旨を口頭で申し出た場合には，供託者は，不受諾を理由として取房請求をすることはできない。誤り。 (5813A) 《書面による受諾》　弁済供託金につき被供託者が供託所に対して供託を受諾する旨を［書面：×口頭］で申し出た場合には，供託者は，不受託を理由として取戻請求をすることはできない（規則37条）（昭36.4.4民808号）。 (5813A) 《書面による受諾》　＝　(1910B)　(1111A)　(1010A) ※←　これに対し，口頭による受諾の意思表示だけでは，供託受諾の効力は認められない。意思表示の原則からすれば，被供託者が供託者に対して，受諾の意思表示をすれば足りるはずであるが，それでは，供託所に対する関係および供託物取戻請求権につき権利を主張する第三者との関係において，実効性を期しがたいので，供託所へ，書面でしなければならないことにした（供託規則37条）（昭36.4.4民甲808号決議）。
２	供託書に供託により消滅すべき抵当権の記載がある場合でも，供託者は，不受諾を理由として取戻請求をすることができる。誤り。 (5813B) 《抵当権の消滅》　供託書に供託により消滅すべき抵当権の記載がある場合，供託者は，不受託を理由として取戻請求をすることが［できない］（民法496条2項）。 (5813B) 《抵当権の消滅》　＝　(1310C)　(0112E)　(6211D) ※←　抵当権の消滅後に取戻請求権を認めると，いったん消滅した抵当権が復活することになり，第三者に不測の損害を与えることになるから。
３	保証として供託した供託金の利息は，元本と同時にでなければ払い渡すことができない。誤り。 (5813C) 《保証供託と利息》　保証として供託した供託金の利息は，元本と同時にで［なくても払い渡すことができる：×なければ払い渡すことができない］（規則34条2項）。 (5813C) 《保証供託と利息》 ◎←　弁済供託金の利息は，原則として元金と同時に払い渡すものとされている（規則34条1項本）。　しかし、　保証として金銭を供託した場合には，前項の規定にかかわらず，毎年，供託した月に応当する月の末日後に，同日までの供託金利息を払い渡すことができる（規則34条2項）。
４	弁済供託金の元金の受取人と利息の受取人とが異なる場合において，元金を払い渡したときは，利息請求権は，元金の払渡しの時から10年の経過により時効消滅する。正しい。 (5813D) 《利息の消滅時効》　弁済供託金の元金の受取人と利息の受取人とが異なる場合に，元金を払い渡したとき，利息請求権は，元金の払渡しの時から10年の経過により時効消滅する（民法167条1項,規則34条1項但）。 (5813D) 《利息の消滅時効》 ※←　元金の受取人と供託金利息の受取人とが異なる等元金と同時に払い渡すことができないときは，元金を払い渡した後に払い渡すものとされているから（規則34条1項但）、元本の払渡の時から消滅時効が進行する。
５	供託金取戻請求権を差し押さえた者は，供託所に対して差押命令が送達された時から供託金の払渡しを請求することができる。誤り。 (5813E) 《取立権》　供託金取戻請求権を差し押えた者は，供託所に対して差押命令が送達された時から〔１週間を経過した後は〕供託金の払渡しを請求することができる（民執法155条1項）（ただし，送達時に差押えの効力発生）。 (5813E) 《取立権》 ※←　供託所は第三債務者の地位に立つので、差押命令が供託所に送達された時から直ちに払渡請求をすることはできない。
	正　解　　　４