供託法

◎	ＡがＢに対して有する100万円の金銭債権（以下「甲債権」という）について差押えがされた場合の執行供託に関する次のアからオまでの記述のうち，誤っているものの組合せは，後記１から５までのうちどれか。 (2311) 【執行供託】　ＡがＢに対して有する100万円の金銭債権（甲債権）について差押えがされた。
ア	甲債権につき，Ａの債権者Ｃから仮差押え（仮差押金額80万円）の執行がされた後，Ｄ税務署長から滞納処分による差押え（差押金額60万円）がされた場合において，Ｂが甲債権の全額に相当する100万円を供託したときは，Ｂは，遅滞なく，Ａに供託の通知をしなければならない。正しい。 (2311A) 《仮差押と滞納処分の競合》　甲債権につき，Ａの債権者Ｃから仮差押え（仮差押金額80万円）の執行がされた後，Ｄ税務署長から滞納処分による差押え（差押金額60万円）がされた場合に，Ｂが甲債権の全額に相当する100万円を供託したとき，Ｂは，遅滞なく，Ａに供託の通知をしなければならない（民法495条3項）。 (2311A) 《仮差押と滞納処分の競合》 ※←　全額供託できるので（滞調法36条の12第1項、20条の6第1項）、通知義務がある（民法495条3項）。
イ	甲債権につき，Ａの債権者Ｃから強制執行による差押え（差押金額100万円）がされた後，Ｃが提起した取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに，Ａの債権者Ｅを仮差押債権者とする仮差押命令（仮差押金額60万円）の送達を受けたときは，Ｂは，甲債権の全額に相当する100万円を供託しなければならない。正しい。 (2311B) 《強制執行と仮差押の競合》　甲債権につき，Ａの債権者Ｃから強制執行による差押え（差押金額100万円）がされた後，Ｃが提起した取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに，Ａの債権者Ｅを仮差押債権者とする仮差押命令（仮差押金額60万円）の送達を受けたとき，Ｂは，甲債権の全額に相当する100万円を供託しなければならない（民執法156条2項）。 (2311B) 《強制執行と仮差押の競合》 ※←　債権全額の供託義務を負う（民執法156条2項）。
ウ	甲債権につき，Ａの債権者Ｃから強制執行による差押え（差押金額100万円）がされた場合において，Ｂが甲債権の全額に相当する100万円を供託するときは，Ｂは，供託書にＡを被供託者として記載しなければならない。誤り。 (2311C) 《被供託者》　甲債権につき，Ａの債権者Ｃから強制執行による差押え（差押金額100万円）がされた場合に，Ｂが甲債権の全額に相当する100万円を供託するとき，Ｂは，供託書に［被供託者を記載する必要はない：×Ａを被供託者として記載しなければならない］。 (2311C) 《被供託者》 ※←　執行裁判所が配当を実施することによって、初めて還付請求権を取得するから。
エ	甲債権につき，Ｄ税務署長から滞納処分による差押え（差押金額100万円）がされた場合には，Ｂは，甲債権の全額に相当する100万円を供託することができる。誤り。 (2311D) 《取立権》　甲債権につき，Ｄ税務署長から滞納処分による差押え（差押金額100万円）がされた場合，Ｂは，甲債権の全額に相当する100万円を供託することが［できない］（国税徴収法67条1項）。 (2311D) 《取立権》 ※←　租税債権は、一般債権に優先し、徴収職員が差押えた債権の取立権を有するから（国税徴収法67条1項）。
オ	甲債権につき，Ａの債権者Ｃから強制執行による差押え（差押金額60万円）がされた場合には，Ｂは，当該差押金額に相当する60万円を供託することもできるし，甲債権の全額に相当する100万円を供託することもできる。正しい。 (2311E) 《供託金額》　甲債権につき，Ａの債権者Ｃから強制執行による差押え（差押金額60万円）がされた場合，Ｂは，当該差押金額に相当する60万円を供託することもできるし，甲債権の全額に相当する100万円を供託することもできる（昭55.9.6民四5333号）。 (2311E) 《供託金額》 ※←　全額または差押金額のいずれでも差し支えない（民執法156条1項）。（昭55.9.6民四5333号）
	１　アイ　　　　　　２　アオ　　　　　　３　イウ　　　　　　４×ウエ　　　　　５　エオ