執行供託に関する組合せ問題である。「民事執行法等の施行に伴う供託事務の取扱いについて」（昭55.9.6民四5333号通達）と，「民事保全法等の施行に伴う供託事務の取扱いについて」（平2.22.13民四5002号通達）の先例を素材として作問されている。

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(1611A) 《供託通知書》
※←　しかし，平成17年の改正により､供託通知書の添付義務に関する規定は廃止された。　自ら発送することもできる。
（旧）　金銭債権の一部が差し押さえられた場合に，その全額に相当する金銭を供託するときは，供託書に被供託者（債務者）あての供託通知書及び郵券を付した封筒を添付しなければならない（昭55.9.6民四5333号通達第二・四１(一)(2)）。弁済供託の性質を併せ持つからである（民法495条3項，旧規則16条，準則33条）。

(1611B) 《滞納処分》
※←　この場合，弁済した残余の部分については，民事執行法156条1項による供託をすることができる。
　第三債務者は，滞納処分による差押えがされた金銭債権について，さらに強制執行による差押えがされ，差押えが競合した場合には，その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる（滞調法20条の6第1項，20条の9，36条の12，昭55.9.6民四5333号通達第三・一１(一)）。しかし，単に滞納処分による差押えのみがなされた場合には，差し押さえをした徴収職員等は，当然に差し押さえた債権の取り立てをすることができるので（国税徴収法67条1項），滞調法は適用されず，供託できない。

(1611C) 《給与債権》
※←　給与債権のうち差押えが許容される部分は，既に前の差押債権者に払い渡されており，供託によっても差押制限の効力は失われないので，残余の還付請求権に対しては，すべて差押えが許されないから，差押命令があったとしても差押の効力は生じない（昭59全国供託課長会同決議・14問）。

(1611D) 《仮差押解放金》
※←　仮差押金額を超える部分は，仮差押債務者のためにする弁済供託の性質を有するから。
　金銭債権に対して仮差押解放金の額を超えて仮差押えの執行がされ，第三債務者がその金銭債権の額（仮差押額）に相当する金銭を供託した場合に，供託金のうち仮差押解放金の額を超える部分につき，債務者（被供託者）から供託金払渡請求書に仮差押解放金の額を証する書面を添付して還付請求がされたとき，これを認可して差し支えない（平2.11.13民四5002号通達第二・三(1)ア(ｲ)）。

(1611E) 《仮差押の競合》
※←　仮差押が競合した場合，第三債務者に二重払いの危険性はないので，義務供託ではなく，権利供託である。
　仮差押債権者は，もともと取立権を有しないので，仮差押が競合しても，民事執行法156条2項を準用する基礎を欠くから（平2.11.13民四5002号通達第二・三(1)イ(ｱ)）。