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(2902A) 《》
※←　（刑法条）。
※←　（最判昭平）。
※←　（法条）。人身売買に関する罪(226条の２参照）であり，あまり学習する機会がないかもしれないが，後述の通り消去法で正解することが可能であるため，最悪この肢がわからなくとも，慌てる必要はない。営利目的で未成年者を買い受けた場合，当然に未成年者買受け罪は成立する(226条の２第２項）。これに加え，未成年者売渡し罪も同時に成立する。なぜならば，買受け行為と売渡し行為は相手方との間で何らかの意思連絡があって行われるものであり，必要的共犯となるからである。よって，未成年者買受け罪のみが成立するという点で本肢は誤りである。
　　なお，必要的共犯全般については最判昭和43年12月24日百選198事件参照。

(2902B) 《》
※←　（刑法条）。
※←　（最判昭平）。
※←（法条）。身の代金目的誘拐罪は，昭和39年に新設された構成要件であり，過去の有害性及び残忍性を考慮し，重い法定刑が設けられている(225条の２第１項）。本罪は，行為者に「憂慮に乗じてその財物を交付させる目的」があれば足りる。したがって，目的犯である。よって，本肢は正しい。なお，「憂慮に乗じて」とは，憂慮・心配を利用してということである。本肢は，条文自体に「…交付させる目的で…」と目的犯であることが明文化されているため，条文を素読していれば容易に解答できるものだったといえる。そして，イが正しい肢となるため，この時点で３と４は現場で消去することができる。
　　最決昭和62年３月24日百選1113事件参照。

(2902C) 《》
※←　（刑法条）。
※←　（最判昭平）。
※←　（法条）。刑法228条の２による。本規定は，被拐取者（誘拐された被害者）の安全に配慮した政策規定である。そのため，公訴が提起される前に被拐取者を安全な場所に開放した時は，刑が必要的に減軽される。ここにいう「安全な場所」とは，被拐取者の生命，身体に実質的に危険がなく，かつ，救出，発見が容易な場所のことをいう（最決昭54・ 6 ・26刑集33巻４号364頁）。よって，本肢は正しい。本肢も，イと同様，条文に明記されているため，条文を読み込んでいれば正解することができたといえる。この段階で１を消去できる。

(2902D) 《》
※←　（刑法条）。
※←　（最判昭平）。
※←　（法条）。刑法229条による。未成年者誘拐罪が親告罪である趣旨は，被拐取者の名誉を保護する点にある。告訴をすることができる者は，被拐取者及び法定代理人である（刑訴230条, 231条１項）。よって，本肢は正しい。本肢も，イ，ウと同様，条文に明記されているため，条文を読み込んでいれば正解することができたといえる。この段階で，５を消去できるため，正解の２に辿りっくことができる。

(2902E) 《》
※←　（刑法条）。
※←　（最判昭平）。
※←　（法条）。本肢を考える際には，まず未成年者誘拐罪の保護法益から検討することが有効である。未成年者誘拐罪は，被拐取者の自由と監護権者の監護権の双方が保護法益である（折衷説。大判大13・ 6 ・19）。そうすると，一方の監護権者が他方の監護権者の監護権を害して未成年者を誘拐することは可能であるため，親権者自身も未成年者誘拐罪の主体となる。判例乱「その行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかであり，被告人が親権者の１人であることは，その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情である」としている（最決平17・12・ 6）。よって，親権者は，未成年者誘拐罪の主体とならないという点で本肢は誤りである。なお，本肢の内容は論文対策では必ず触れるテーマであるため（平成27年司法試験出題），必ず正解できなければならない。