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(2904A) 《》
※←　（法条）。判例は，本肢と類似の事例において，偽造公文書行使罪は公文書の真正に対する公共の信用を保護法益としているから，本罪における行使を，「文書を真正に成立したものとして他人に交付，提示等して，その閲覧に供し，その内容を認識させまたはこれを認識し得る状態に置くこと」をいうとしている（最大判昭44・6・18）。これを本設問に当てはめると，検問中に偽造した公文書である運転免許証を警察官に提示しているため，その内容を当該警察官に認識させたといえ，認識し得る状態に置いたといえる。そして，本罪における保護法益は公文書の公正に対する公共の信用であるから，有効期間が過ぎているか否かは罪の成立に影響しない。

(2904B) 《》
※←（法条）。本肢では，甲は公務員ではない私人であることに注意が必要である。本肢と同様の事案について，判例は，公務員でない者が虚偽の公文書偽造の間接正犯を行った場合，公正証書原本不実記載罪(157条）を除き，原則として罰しない旨判旨している（最判昭27・12・25刑集６巻12号1387頁）。よって，公正証書原本不実記載罪とすべきところを偽造公文書作成罪としている点で本肢は誤りである。

(2904C) 《》
※←　（法条）。刑法150条及び152条による。偽造通貨収得罪における［収得］とは，偽造通貨であることを知って取得する一切の行為をいう。本肢では，甲は当該偽造通貨を受け取る際，偕を知らないで受け取っていることから，偽造通貨収得罪における「収得」に当たらない。な牡偽造通貨とは知らずに当該偽造通貨を受け取った者が，事後的に偽造通貨であることを知り，行使・交付をした場合には，偽造通貨収得後知情行使罪(152条）が成立する。よって，偽造通貨収得罪が成立するとしている点て本肢は誤りである。

(2904D) 《》
※←　（法条）。まず，本肢における小切手は，有価証券偽造罪(162条）の客体である「有価証券」に該当する。次に「変造」とは，権限を有しない者が，真正に成立した他人名義の有価証券に不正に変更を加えることをいうところ，本肢では，作成権限を有しない甲が，額面10万円の当該小切手に不正に「Ｏ」を付け加えているため，「変造」に当たる。よって，本肢は正しい。なお，「有価証券」として，手形，乗車券，商品券，宝くじも該当するため，セットで理解しておくと良い。

(2904E) 《》
※←　（法条）。本肢と同様の事案において，判例（最判平5･10･5）は，「私文書偽造の本質は，文書の名義人と作成者の問の人格の同一性を偽る点にあると解されるところ…，被告人は，自己の氏名が…弁護士会所属の弁護士Ｘと同姓同名であることを利用して，同弁護士になりすまい『弁護士Ｘ』の名義で本件各文書を作成したものであって，たとえ名義人として表示された者の氏名が被告人の氏名と同一であったとしても，本件各文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式，内容のものである以上，本年各文書に表示された名義人は，…弁護士Ｘであって，弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかであるから，本件各文書の名義人と作成者との人格の同一性にそごを生じさせたものというべきである」とし、私文書偽造罪を成立させている。よって，私文書偽造が成立しないとしている点て本肢は誤りである。