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(2905A) 《》
※←　（法条）。まず，正当防衛における「急迫」とは，法益侵害の危険が切迫していることをいい，現に侵害が行われている状態をも含む（最決昭46 ・11 ･ 16刑集25巻８号996頁）。したがって，本設問の前半は正しい。次に緊急避難における「現在」とは，法益侵害が現に存在していること，及び，法益侵害の危険が間近に切迫していることをいう。これは正当防衛の「急迫」と同様である。よって，成立する余地はあるとすべきところを成立する余地はないとしている点て本肢は誤りである。

(2905B) 《》
※←（法条）。正当防衛における，「やむを得ずにした行為」の解釈である。正当防衛における相当性は，一般に法益の相対的均衡と防衛手段の相当性の２面から判断される（最決昭44・12・ 4刑集23巻12号1573頁）。正当防衛は，正対不正の関係に基づくものであるから，反撃行為によって生じた結果が，たまたま侵害されようとした法益より大きくても，成立する。よって，正当防衛が成立するとすべきであるところを成立する余地はないとしている点で本肢は誤りである。

(2905C) 《》
※←　（法条）。緊急避難は，正対正の関係に基づくものであるから，正当防衛の成立する行為（正の行為）に反撃した場合は，緊急避難が成立する余地がある。一方で，正当防衛は正対不正の関係に基づくものであるから，正当防衛が成立する行為が正である以上，成立する余地はない。

(2905D) 《》
※←　（法条）。刑法36条２項，37条１項による。過剰防衛，及び過剰避難のいずれも，「減軽し，又は免除することができる」と規定されているため，両者とも任意的減軽である。よって，過剰避難と同様とすべきであるところを必要的減軽としているため本肢は誤りである。

(2905E) 《》
※←　（法条）。対物防衛に関する肢である。肢３の通り，正当防衛は正対不正の関係に基づくものである。正当防衛における「不正」とは，法規範違反のことであるが，台風などの自然現象が法規範違反を行うことは思考し難いため，自然現象は［不正］足りえない（大判昭8・ 9 ・27）。よって，正当防衛が成立する余地はなく本肢は正しい。