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(2906A) 《》
※←　（法条）。わいせつ物頒布罪における［頒布］とは，不特定又は多数の者にわいせつ物を交付することをいう（大判大15・3・ 5刑集５巻78頁）。したがって，わいせつ物を販売等した時点において，相手方がその内容を理解していなくとも，成立する。本肢では，頒布先が日本語能力に乏しい外国人であるが，それでもわいせつ文書を多数の人数に販売した時点において，わいせつ物頒布罪が成立する。

(2906B) 《》
※←（法条）。刑法175条２項による。本罪は，有償で頒布する目的を要するため，販売者は将来的にわいせつ物を有料で販売する目的を有していなければならない。本肢で，甲は無料で配る目的しか有していないことから，わいせつ物有償頒布目的所持罪は成立しない。

(2906C) 《》
※←　（法条）。本肢は，肢ア，イと異なり，頒布を受けた相手方についての犯罪の成否に関するものであるため注意を要する。頒布罪は，頒布の相手方の関与行為を必要とするが（必要的共犯），相手方の行為について罰則は規定されていない。そのため，相手方は罰せられない。よって，わいせつ物頒布罪の教唆犯は成立しない。

(2906D) 《》
※←　（法条）。刑法175条１項，２項による。肢アの通り，わいせつ物頒布罪における［頒布］とは，不特定又は多数の者に　わいせつ物を交付することをいう。本肢において，甲は，わいせつな映像を記録したＤＶＤを，不特定多数の利用者に貸し出しているため，わいせつ物頒布罪が成立する。大判大正15年３月５日刑集５巻78頁参照。

(2906E) 《》
※←　（法条）。本肢は，相手方が１人という特定かつ少数の事例ではあるが，判例は，特定かつ少数の者であっても，不特定又は多数の者に対して交付する意思が有る場合には，「頒布」に該当するとしている（大判大6・5･19）。本肢において，甲は個人の趣味としてではなく，販売業としてわいせつな映像を記録した映像を頒布しようとしていることから，不特定又は多数の者に対して交付する意思が有るといえる。