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(2913A) 《》
※←　（法条）。責任能力とは，行為者を非難するために行為者に必要とされる一定の能力をいう（大判昭6･12･ 3刑集10巻682頁）。刑事未成年については，明文で「14歳に満たない者」と定義され，責任能力は解釈の余地なく認められない。よって，本肢は責任能力は認められないとすべきであるにもかかわらず，責任能力が認められるとしている点で誤りである。なお，心神喪失の場合は，弁識能力（行為の是非善悪を弁識ずる能力）又は制御能力（その弁識に従って行動する能力）がない状態をいい，心身耗弱の場合は，双方のいずれかが著しく欠如した状態のことをいう。

(2913B) 《》
※←（法条）。心神喪失，心身耗弱の判断は，行為者の精神状態についての判断であるから，被害者やその遺族の感情，社会感情は考慮対象とならない。また，判断に専門的な知識が必要とされる場合であっても，その判断は法律判断であるから，医師等の意見に拘束されることなく，裁判所は独断でかかる判断をすることができる（最決昭59・7・3）。

(2913C) 《》
※←　（法条）。本肢は原因において自由な行為について問うものである。本肢と類似の事例について，判例（大阪地判昭51・3・ 4）は，飲酒や薬物使用などの原因行為（心神喪失，心身耗弱を招く原囚となった行為）の時点では完全な責任能力があったことに注目し，結果行為の時点で完全な責任能力がなかったとしても，原因行為の時点で完全な責任能力があった場合には，刑事責任を問えるとしている。よって，死亡の結果について行為者に刑事責任を問うことができるとすべきところを問うことができないとしている点て本肢は誤りである。

(2913D) 《》
※←　（法条）。心神喪失や心身耗弱の判断は，病歴のみならず，犯行当時の病状，犯行前の生活態度，犯行の動機・態様，犯行後の行動等，諸般の事情を総合考慮しておこなうものである（最決昭53・3・24百選134事件）。よって，そのことだけで直ちに心神喪失の状態にあったとは判断されないとすべきであるにもかかわらず，直ちに判断されるとしている点で本肢は誤りである。

(2913E) 《》
※←　（法条）。本肢は，肢３と同様，原因において自由な行為について問うものである。原因行為の時点で完全な責任能力があれば，行為時に心身耗弱であったとしても，刑事責任が問える余地がある。