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(2908A) 《》
※←　（法条）。本肢と同様の事例において，判例（最判昭33・4・17刑集12巻６号1079頁）は，「投票用紙は所有権の客体となるものであることはいうまでもないし，また，被告人…は，権利者を排除して…投票用紙を恰も自己の所有物のごとくこれを同用紙として利用する意思があったこと明らかであることから，同被告人等は，不法領得の意思なしというを得ないＵとし，窃盗罪の成立を認めている。よって，窃盗罪が成立するとすべきであるところ，成立しないとしている点て本肢は誤りである。

(2908B) 《》
※←（法条）。判例（最判昭24・3・8百選皿65事件）は，横領罪における不法領得の意思を，「他人の物の占有者が委託の任務に背いて，その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思］としている。本肢では。甲は隠匿意思を有して設計書を持ち帰っているが，隠匿行為も，本来所有者から委託されていた適正な工事を隠すという，委託に背く行為に該当するため，不法領得の意思が認められる。よって，不法領得の意思が認められ，業務上横領罪が成立するとすべきであるところ，成立しないとしている点て本肢は誤りである。

(2908C) 《》
※←　（法条）。判例（最判昭26・ 7 ・13刑集５巻８号1437頁）は，窃盗罪における不法領得の意思を，「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思］としている。本肢において不法領得の意思があるか否かを検討すると，乙の車を無断で運転し，走り去っている時点で権利者排除意思が認められる。また，乙の車を売却することは，所有者である乙にしかできない行為であることから，経済的用法に従って利用する意思もある。したがって，不法領得の意思が認められる。よって，甲に不法領得の意思が認められ，窃盗罪が成立するとすべきであるところ，窃盗罪が成立しないとしている点で本肢は誤りである。

(2908D) 《》
※←　（法条）。「横領罪における不法領得の意思は，他人の物の占有者が委託の任務に背いて，その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思］である。本肢は，自分の娯楽費に充てるために新聞の購読料を充てる「穴埋め横領」の事例であるが，自己の利益を図って金銭を使用している以上，経済的用法に従って利用処分する意思があったといえる。よって，不法領得の意思が認められ，業務上横領罪が成立するとすべきであるところ，業務上横領罪は成立しないとしている点で本肢は誤りである。

(2908E) 《》
※←　（法条）。詐欺罪における不法領得の意思は，窃盗罪と同様である。すなわち，権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思である。本肢について検討すると、甲は，自分自身が乙の財産を差し押さえようと考えているのではなく，単に乙の財産が不正に差し押さえられることを願って支払督促上を廃棄している。したがって，経済的用法に従って利用，処分する意思がないため，不法領得の意思が認められず，詐欺罪は成立しない（最決平16・11・30）。