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(2916A) 《》
※←　（法条）。不法原因給付と横領に関する問題である。まず，【見解】は，不法原因給付物であるとはいえ、委託信任関係は保護されるべきであるとの観点から，不法原因給付物の横領罪成立を肯定する見解である。そうすると，民法708条にいう「給付」に「委託」が含まれるという立場を前提としなければならないはずであるが，本肢の記述は「給付」に「委託」は含まれない立場を前提とするとしており，議論がかみ合っていない。よって，妥当でないとの批判はできないとすべきであるにもかかわらず，できるとしている点で本肢は誤りである。

(2916B) 《》
※←（法条）。【見解】は,委託信任関係を保護する点を重視している。そうすると，使途を定めて委託された金銭，例えば封緘された金銭などは，そもそも委託信任関係はなく，委託者の所有権のもとにおかれている金銭と評価することが可能である。よって，明らかに矛盾するものではないとすべきであるにもかかわらず，明らかに矛盾するとしている点で本肢は誤りがある。これも，特に知識なく現場で正解に辿りつける肢である。この段階で，正解肢の５を選択することができる。

(2916C) 《》
※←　（法条）。【見解】に対する批判として，民法708条によって認められる返還の拒絶行為を，刑法上罰することができてしまい，刑法の謙抑性を害するとの批判が加えられている。

(2916D) 《》
※←　（法条）。【見解】は，委託信任関係を重視しているものであるから，本肢の批判は真逆のことをいっている。よって，委託信任関係の破壊という点を全く考慮していないわけではないとすべきであるにもかかわらず，全く考慮していないとしている点で本肢は誤りである。

(2916E) 《》
※←　（法条）。【見解】は，委託信任関係を重視して横領罪の成立を肯定する見解であるが，そもそも民法708条の効果によって，不法原因給付物の所有権は反射的に受託者に所有権が属すると考えることができるため，所有権の侵害が観念できない。したがって，「他人の物」を領得したわけではないのに横領罪が成立することになってしまうため，妥当でないと批判されている。