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(2817A) 《》
※←　（法条）。判例（最決平13・10・25）は，同様の事案において，「本件当時乙には是非弁別の能力があり，被告人の指示命令は乙の意思を抑圧するに足る程度のものではなく，乙は自らの意思により本件強盗の実効を決意した上，臨機応変に対処して本件強盗を完遂したことなど…の事情に照らすと…間接正犯が成立するものとは認められない」としている。そのため，強盗罪の間接正犯は成立しない。

(2817B) 《》
※←（法条）。判例（大判大10・5・7）は，妊婦から依頼された第三者が自ら堕胎措置を実施したところ，妊婦に異常が生じたため，緊急避難として医師に堕胎を余儀なくさせた者に対して，医師の適法な緊急避難を利用したとして間接正犯の成立を認めた。よって，設問の事案も同様に考えて，同意堕胎罪の間接正犯が成立するといえる。

(2817C) 《》
※←　（法条）。判例（最判昭27・12・25）は，公務員でないものが虚偽公文書作成の間接正犯であるときは, 157条のほかにはこれを処罰しないとしている。その理由として，「156条の他に特に公務員に対し虚偽の申立を為し，権利義務に関する公正証書の原本又は免状，鑑札若しくは旅券に不実の記載を為さしめたときに限り157条の処罰規定を設け，しかも156条の場合の刑よりも著しく軽く罰しているに過ぎない点から見ると公務員でない者が虚偽の公文書偽造の間接正犯であるときは157条の場合の外これを処罰しない趣旨」ということを挙げている。設問の事例でも，甲は公務員ではない以上，虚偽公文書作成罪の間接正犯は成立しない。

(2817D) 《》
※←　（法条）。行為者が構成要件的結果について故意のない媒介者の行為を介入させた場合には，媒介者を道具のように利用して構成要件を実現したとみることができるので，間接正犯が成立する。説問の事案でも，甲は事情の知らない乙に依頼して広告文を掲載させているが，乙を道具のように利用しているため，作成者は甲となる。名義人は丙であるため，人格的同一性に齟齬が生じたといえ，私文書偽造罪の間接正犯が成立する。

(2817E) 《》
※←　（法条）。行為者が構成要件的結果について故意のない媒介者の行為を介入させた場合には，媒介者を道具のように利用して構成要件を実現したとみることができるので，間接正犯が成立する。説問の事案でも，甲は，乙所有であるという事実を秘して，自己所有であると偽って，丙をして，乙の建材置場から当該建材を搬出させており，丙を道具のように利用したといえる。そのため，甲には窃盗罪の間接正犯が成立する。