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(2818A) 《》
※←　（法条）。加重逃走罪（98条）における［損壊］とは，物理的に壊す場合に隕られる。甲は合い鍵を用いて房の扉を開けており，物理的にカギを壊す行為をしていないので，「損壊」をしたとはいえず，加重逃走罪は成立しない。

(2818B) 《》
※←（法条）。加重逃走罪が既遂に至るためには，通謀した二人以上の者が，現実に逃走未遂の段階に至ったことが必要である。設問の事例では，乙は逃走を思いとどまり，房の外に出なかったため，通謀した二人以上の者が，現実に逃走未遂の段階に至ったとはいえない。そのため，甲に加重逃走罪の既遂罪が成立しない。

(2818C) 《》
※←　（法条）。加重逃走罪における「暴行」とは，看守者又はその協力者に対してなされる場合に隕られる。設問の事例では，乙は同房者の丙を殴ったにすぎず，看守者を殴ったわけではない。そのため，「暴行」は認められない。　また，「通謀」とは，二人以上のものがともに逃走することを内容とする意思連絡をすることをいう。設問では，乙が逃走することは予定されておらず。本罪の「通謀」があったとは言えない。よって，加重逃走罪は成立しない。

(2818D) 《》
※←　（法条）。単純逃走罪（97条）における「拘禁された…者」とは，現に刑事施設に拘禁されているものをいうが，いったん収容された以上は，護送中の自動車内にいた場合でも含まれるとされている。よって，甲は，「拘禁された…者」にあたり，単純逃走罪の既遂罪が成立するため，設問の記述は正しい。

(2818E) 《》
※←　（法条）。逃走援助罪（100条１項）は［器具を提供し，その他逃走を容易にすべき行為をした］場合に成立するが，現実に逃走させたことまでは必要ではなく，逃走の危険を有する行為が行われたことで足りる。設問の事例では，甲が提供した乙の房の合鍵により，乙は逃走することができたので，甲には逃走援助罪の既遂罪が成立するとしている設問の記述は正しい。