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(2813A) 《自衛戦争》
※←　（憲法条）。憲法９条の解釈において，学説ではまず９条１項の解釈から争いがある。９条１項には「国際紛争を解決する手段としては」という留保の文言が付されており，これを侵略戦争のみの放棄を指すものとして９条１項は自衛戦争を放棄していないと考える１項限定放棄説（Ａ説）と，上記の文言は侵略戦争だけでなく自衛戦争までも含むとして９条１項は全ての戦争を放棄していると考える１項全面放棄説（Ｂ説）に分かれる。Ａ説は，従来の国際法上の用語例からすると，上記の文言は「国家の政策の手段としての戦争」と同義であり，これは侵略戦争を意味することを根拠とする。Ｂ説は，そのような用語例にとらわれず，およそ戦争は全て国際紛争を解決する手段として行われると考えられることを根拠とする。
　　これら１項における解釈を前提に，９条２項の解釈は以下のように分かれる。まずＡ説においては，さらに以下の２説に分かれる。一つは，２項の「前項の目的を達するため」との文言を１項の「日本国民は…誠実に希求し」という戦争放棄の動機一般を指すものと考え，２項における「戦力」の全面放棄を唱える２項全面放棄説（Ａ−１説）である。もう一つは，「前項の目的」とは侵略戦争を意味する１項の「国際紛争を解決する手段としては」の部分を指すと考え，２項においても侵略戦争に限定した放棄を唱える１項２項限定放棄説（Ａ−２説）である。他方でＢ説においては，１項で全面放棄の解釈をとった以上，必然的に２項においても全面放棄の解釈をとることとなる。　Ａ−１説が通説かつ政府見解であり, A- 1説とＢ説は全面放棄という結論においては一致する。他方, A - 2説は自衛戦争を許容する見解であり，日本国憲法には66条２項以外には戦争や軍隊を予定した規定がない点や，前文において宣言されている平和主義の精神に適合しない点で批判されている。なお，政府見解はＡ−１説をとって２項で「戦力」の全面放棄を唱えるが，「戦力」には自衛のための必要最小限度の実力は含まれないと考えることで，自衛隊は「戦力」に該当しないとする。
，本肢の見解はＡ−２説を指しており,これに対する批判も適切である。

(2813B) 《国際紛争》
※←　（憲法条）。本肢の見解はＡ−１説を指しているが，後半の批判内容はＡ説が９条１項の解釈で根拠として採用しているものであるから，かかる批判は不適切である。

(2813C) 《全面放棄》
※←　（憲法条）。本肢前半の見解はＡ−１説を指しており，後半はＢ説を指している。上記の通り，両説は結論において全面放棄で一致する。