公法

◎	合憲限定解釈に関する次のアからウまでの各記述について，正しいものには○，誤っているものには×を付した場合の組合せを，後記１から８までの中から選びなさい。 (2718) 【合憲限定解釈】　* ** 　* ** 　*
ア	合憲限定解釈に対しては，立法者の意思を超えて法文の意味を書き換えてしまう可能性があり，立法権の簒奪につながりかねないという問題がある。正しい。 (2718A) 《立法権の簒奪》　合憲限定解釈に対しては，立法者の意思を超えて法文の意味を書き換えてしまう可能性があり，立法権の簒奪につながりかねないという問題がある（最判昭59.12.12）。 (2718A) 《立法権の簒奪》 ※←　（最判昭59.12.12）。合憲限定解釈は，憲法判断回避の方法として括られるものの，実質的に違憲判断を含むものである。解釈の方法について，立法者のもともとの意思を超えた解釈を施すことになり裁判所による新たな立法になりかねないとか，法令の意味を不明確にするといった問題点が指摘されている。
イ	合憲限定解釈に対しては，当該解釈が不明確であると，犯罪構成要件の保障的機能を失わせ，憲法第31条違反の疑いを生じさせるという問題がある。正しい。 (2718B) 《明確性》　合憲限定解釈に対しては，当該解釈が不明確であると，犯罪構成要件の保障的機能を失わせ，憲法第31条違反の疑いを生じさせるという問題がある（最判昭48.4.25）。 (2718B) 《明確性》 ※←　（最判昭48.4.25）。全農林警職法事件（最判昭48・4・25百選旧46事件）　本判例は「不明確な限定解釈は…犯罪構成要件の保障的機能を失わせることとなり，その明確性を要求する憲法31条に違反する疑いすら存する」として，公務員の争議行為の一律禁止を合憲とする。
ウ	判例は，集会の自由の規制が問題となった広島市暴走族追放条例について，条例の改正が立法技術上困難でないから，あえて合憲限定解釈をする必要はないとした。誤り。 (2718C) 《暴走族追放条例》　判例は，集会の自由の規制が問題となった広島市暴走族追放条例について，条例の改正が立法技術上困難でないが，あえて合憲限定解釈を［した］（最判平19.9.18）。 (2718C) 《暴走族追放条例》 ※←　（最判平19.9.18）。広島市暴走族追放条例事件（最判平19・ 9 ・18百選189事件）　本判例は「本条例は…規定の仕方が適切ではなく，本条例がその文言どおりに適用されることになると，規制の対象が広範囲に及び，憲法21条１項及び31条との関係で問題があることは所論のとおりである」とした上で，「このような本条例の全体から読み取ることができる趣旨，さらには本条例施行規則の規定等を総合すれば，本条例が規制の対象としている『暴走族』は，本条例２条７号の定義にもかかわらず，暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外には，服装，旗，言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団に限られるものと解され，したがって，市長において本条例による中止・退去命令を発し得る対象も，…本条例16条１項１号，17条所定の場所及び態様で行われている場合に限定されると解される」　「そして，このように限定的に解釈すれば，…いまだ憲法21条１項，31条に違反するとまではいえない」として，合憲限定解釈をしている。
	１　ア○ イ○ ウ○ 　　　２○ア○ イ○ ウ× 　　　３　ア○ イ× ウ○　　　４　ア○ イ× ウ× 　　　５　ア× イ○ ウ○ 　　　６　ア× イ○ ウ×　　　７　ア× イ× ウ○　　　８　ア× イ× ウ×

平27

18

平26