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(2715A) 《議院の権能》
※←　（憲法62条）。
　両議院は，各々国政に関する調査を行ひ，これに関して，証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる（憲62条）。あくまでも議「院」に認められた権能であるため，個々の国会議員について認められた権能ではない。

(2715B) 《提出拒絶》
※←　（議院証言法５条）
　国政調査権と一般行政権との関係についての記述である。　公務員の職務上の秘密に関する事項には，調査権は及ばない（議院証言法５条）。もっとも行政府は国会に従属するのが憲法の定める統治の基本原則であるから，職務上の秘密の範囲はできるかぎり限定して考えなければならない。このため，議院証言法５条は，理由の疎明や，「証言又は書類の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」旨の内閣声明を要請している（同条３項）。

(2715C) 《調査の対象》
※←　国政調査権は，私人の活動を対象とするものではない。通説は三権分立の関係から国会ないし議院が本来的に有する諸権能を有効かつ適切に行使するための補助的な権能にとどまるとする説（政治的美称説と結びつく）をとっている（補助的権能説）。したがって，調査の方法対象は権力分立や人権の原理から制約が加えられる。
　もっとも，国会ないし議院が本来的に有する権能は多岐にわたるので，「補助的」といっても，国政調査権の範囲は「国政のほぽ全般にわたる」。そして，証人として召喚される対象についても公務員のみにかかる制限はなく，私人にも及ぶものとされる。
　なお，証人として召喚する場合には，証人に対して手続的保障を与えなければならない。証人の思想信条・表現・信教など，いわゆる精神的自由権に関わる質問や書類の提出要求はできない。