*

　*

　*

(2914A) 《政党の存在》
※←　（憲法条）。
※←　憲法は政党について規定するところがなく，これに特別の地位を与えてはいないのであるが，憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから，憲法は，政党の存在を当然に予定しているものというべきである（最判昭45.6.24）。

(2914B) 《除名処分》
※←　（憲法51条）。憲法51条が議員の免責特権を定めた趣旨は，議会内における自由な言論を保障し，議員の自由な活動や全国民の代表としての職務の遂行を保障する点にある。よって,本肢前段は正しい。しかし,51条の「責任」とは法的責任をいい，ここに政治的・道義的責任は含まれない。したがって，所属政党が，議院内での国会議員による発言や表決につき政治的・道義的責任を追及し，除名処分をすることもできる。

(2914C) 《内部的な問題》
※←　（憲法条）。判例（最判昭63.12.20）は，政党の自律性を確保するため，「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り，裁判所の審判権は及ばない］としている。（最判昭63.12.20）よって，本肢前段は裁判所の審査権が及ぶとする点で，誤りである。
また，同判例は「右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても，右処分の当否は，当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし，右規範を有しないときは条理に基づき，適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり，その審理も右の点に限られる」としており（最判昭63.12.20），一般市民としての権利利益が侵害される場合であっても，真理の対象は処分が適正な手続によりなされたか否かという点に限られるとしている。よって，本肢後段はこの場合に処分内容の当否まで審査できるとする点で誤りである。