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(2919A) 《租税法律主義》
※←　（憲法条）。財政法３条について，その根拠を憲法83条（財政民主主義）に求める見解（Ａ説）と，84条（租税法律主義）に求める見解（Ｂ説，多数説）がある。Ｂ説は，租税法律主義の原則を，固有の意味の租税のみに関する原則ではなく，およそ国がその収入のために国民に一方的・強制的に賦課する金銭負担は国会の議決に基づかなければならないとする原則と解する。Ａ説からは，Ｂ説に対して，次の批判がなされている。すなわち,財政法３条にいう「法律又は国会の議決に基づいて」とは，憲法84条の「法律又は法律の定める条件による」とは異なり，具体的な金額又は金額算定基準まで直接法律によって規定することを要求するものではなく，料金などを取る根拠や金額を決定する手続を法律や国会の議決で定め，その手続による決定をも容認する趣旨である。そうすると，財政法３条は，憲法上要求されている手続を法律によって不要とするものであって，憲法83条と矛盾する。この批判を踏まえると，本肢のような批判が妥当するのは，財政法３条の根拠を憲法84条に求める見解（Ｂ説）である。

(2919B) 《旭川市国民健康保険条例事件》
※←　（憲法条）。判例（最判平18.3.1）は，国民健康保険料に租税法律（条例）主義が適用できるか争われた事案において，「国又は地方公共団体が，課税権に基づき，その経費に充てるための資金を調達する目的をもって，特別の給付に対する反対給付としてでなく，一一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は，その形式のいかんにかかわらず，憲法84条に規定する租税に当たる」とした上で，「市町村が行う国民健康保険の保険料は，これと異なり，被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものである」から（最判平18.3.1），保険料に憲法84条の規定か直接に適用されることはない」とした。よって，本肢前段は正しい。また，同判例は続けて「租税以外の公課であっても，賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては，憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであ」り，「市町村が行う国民健康保険は，保険料を徴収する方式のものであって乱強制加入とされ，保険料が強制徴収され，賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するものであるから，これについても憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきである］としているから（最判平18.3.1）、本肢後段も正しい。

(2919C) 《予備費》
※←　（憲法87条1項）。国費を支出するには国会の議決に基づくことを要する（85条）。そして国費の支出に対する国会の議決は，使途内容の確定した支出に対してなされるべきものである。通常の歳出に対する議決は，使途内容の確定した支出についてのものであるから憲法85条の議決に当たる。しかし，予備費の議決については，予備費を設けることについての議決である（87条１項）。そのため，予備費は支出後に国会の承認を要するものとされている（87条２項）。したがって。予備費を設ける場合には，「国会の議決に基づいて予備費を設け」なければならず，使途が未確定であるとして国会の議決を不要とすることはできない。