刑法の場所的適用範囲に関する次の記述中，正しいものはどれか。

• (6124) 【場所的適用範囲】

  • **

　日本国の領土上空を飛行中の外国旅客機内の外国人による犯罪には，日本国の刑罰権は及ばない。

• 誤り
  (6124A) 《日本国内》
  　日本国の領土上空を飛行中の外国旅客機内の外国人による犯罪には，日本国の刑罰権が［及ぶ］（刑法1条1項）。

  • (6124A) 《日本国内》
    ※←　日本国の領土上空も，日本国内である。

　日本国の領土内であっても，外国大使館の敷地内において行われた犯罪行為には，日本国の刑罰権は及ばない。

• 誤り
  (6124B) 《外交特権》
  　日本国の領土内で，外国大使館の敷地内において行われた犯罪行為に，日本国の刑罰権は［及ぶ］（刑法1条1項）。

  • (6124B) 《外交特権》
    ※←　ただし，外交特権をもつ者であれば，訴追条件が欠ける。

　犯罪行為が日本国内で行われてその結果が日本国外で発生した場合及び犯罪行為が日本国外で行われてその結果が日本国内で発生した場合は，いずれも日本国の刑法が適用される。

• 正しい
  (6124C) 《行為と結果の一部》
  　犯罪行為が日本国内で行われてその結果が日本国外で発生した場合及び犯罪行為が日本国外で行われてその結果が日本国内で発生した場合は，いずれも日本国の刑法が適用される。

  • (6124C) 《行為と結果の一部》
    ※←　すなわち、犯罪構成要件の一部が日本国内にあれば，わが国の刑法が適用される。

　公務員の国外犯の規定の適用がある場合，これに加功した日本人は，たとえその加功行為が日本国外で行われたとしても，当該犯罪の共犯としての責任を負う。

• 誤り
  (6124D) 《公務員の国外犯》
  　公務員の国外犯の規定の適用がある場合，これに加功した日本人は，その加功行為が日本国外で行われた場合，当該犯罪の共犯としての責任を［負わない］（刑法4条）。

  • (6124D) 《公務員の国外犯》
    ※←　「日本国の公務員に適用する」と規定しているので，公務員の身分を有しない者には，刑法４条は適用されない。
    　これに対し，加功行為が日本国内で行われた場合には，属地主義（刑法1条）により，わが国の刑法が適用される。

　外国において正式に確定判決を受けた行為については，それが有罪であれ，無罪であれ，日本国で再び刑事責任を問われることはない。

• 誤り
  (6124E) 《外国判決》
  　外国において正式に確定判決を受けた行為については，それが有罪であれ，無罪であれ，日本国で再び刑事責任を［問われることがある］（刑法5条）。

  • (6124E) 《外国判決》
    ※←　刑法は、外国判決の効力を認めていないから（刑法5条）。
    ←　外国において確定裁判を受けた者であっても，同一の行為について更に処罰することを妨げない。ただし，犯人が既に外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたときは，刑の執行を減軽し，又は免除する（刑法5条）。