公文書に関する次の記述中，誤っているものはどれか。

• (6126) 【公文書】

  • 公文書偽造罪（刑法155条1項）と公用文書毀棄罪（刑法258条）。

　その内容が私法関係のものであっても，公務所又は公務員が職務上作成する文書であれば，公文書偽造罪における公文書といえる。

• 正しい
  (6126A) 《作成すべき文書》
  　その内容が私法関係のものであっても，公務所又は公務員が職務上作成する文書であれば，公文書偽造罪における公文書といえる（刑法155条1項）。

  • (6126A) 《作成すべき文書》
    ※←　その内容が私法関係のものであるかどうかは，無関係である。
    ←　行使の目的で，公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し，又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は，１年以上10年以下の懲役に処する（刑法155条1項）。　

　権限のない公務員が，権限のある公務員の名を使って虚偽の文書を作成したときは，公文書偽造罪が成立する。

• 正しい
  (6126B) 《作成権限》
  　権限のない公務員が，権限のある公務員の名を使って虚偽の文書を作成したときは，公文書偽造罪が成立する（最判昭25.2.28）。

  • (6126B) 《作成権限》
    ※←　すなわち、作成権限のある公務員の名義を冒用すれば，虚偽公文書作成罪ではなく，公文書偽造罪となる。

　私文書でも公務所で使用する目的で保管するものを破り棄てれば，公用文書毀棄罪が成立する。

• 正しい
  (6126C) 《公用文書》
  　私文書でも公務所で使用する目的で保管するものを破り棄てれば，公用文書毀棄罪が成立する（刑法258条）（最判昭38.12.24）。

  • (6126C) 《公用文書》
    ※←　公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は，３月以上７年以下の懲役に処する（刑法258条）。
    　←　私人の作成した文書でも，公務所で使用する目的で保管する限り，公用文書毀棄罪の客体となる。

　公文書偽造罪における署名には，代筆又は印刷等による記名は含まれないとするのが判例である。

• 誤り
  (6126D) 《署名》
  　公文書偽造罪における署名には，代筆又は印刷等による記名も［含まれる］（大判大4.10.20）。

  • (6126D) 《署名》
    ※←　自署に限らず，作成者が誰であるかを表示するものは，すべて含まれる。

　たとえ公文書の内容が真実でも，公務所又は公務員の作成名義を冒用すれば，公文書偽造罪が成立する。

• 正しい
  (6126E) 《形式主義》
  　たとえ公文書の内容が真実でも，公務所又は公務員の作成名義を冒用すれば，公文書偽造罪が成立する。

  • (6126E) 《形式主義》
    ※←　偽造とは，無権限で他人の名義を冒用することをいい（有形偽造），作成された文書の内容が真実であるかどうかを問わない（形式主義）。