日本の国籍を有しない者。外国の国籍を有する者と無国籍者。
日本の国籍と外国の国籍とを併せ有する二重国籍者は外国人ではないが，法令上特別の規定を設けている場合がある。憲法による基本的人権の保障は，権利の性質上日本国民を対象としているものを除き，日本に在留する外国人に対しても及ぶと解されている。私法上の権利能力については，民法２条は「外国人ハ法令又ハ条約ニ禁止アル場合ヲ除ク外私権ヲ享有ス」と定めて内外人平等原則をとっており，法令による禁止・制限としては，外国人土地法等における相互主義に基づくもの，鉱業法における鉱業権に関するもの等がある。

外国に住所があるか又は外国の法令に準拠して設立された法人。
民法上，外国法人のうち，国，国の行政区画及び商事会社並びに法律又は条約によって認許されたものは，日本においてその成立が認許される（36）。認許された外国法人は，日本に成立する同種の者と同一の私権を有するが，外国人が享有できない権利等の享有は認められない。日本に事務所を設ける場合には，一定の事項を登記しなければならない。法人税法上は，国内に本店又は主たる事務所を有する法人（内国法人）以外の法人をいう。

(S05101A) 《権利能力》
※←　外国人は，法令又は条約の規定により禁止される場合を除き，私権を享有する（民法3条2項）。
（旧）　外国人は，法令又は条約に禁止ある場合を除く外，私権を享有す（民法2条）

(S0501B) 《禁止・制限》
◎←　信託行為の定めにより受益者となるべき者として指定された者（次条第一項に規定する受益者指定権等の行使により受益者又は変更後の受益者として指定された者を含む）は、当然に受益権を取得する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる（信託法88条1項）。
（旧）　法令に依りある財産権を享有することを得ざる者は，受益者としてその権利を有すると同一の利益を享受することを得ず（旧信託法10条）。

(S0501C) 《外国法人》
※←　外国法人は，国，国の行政区画及び外国会社を除き，その成立を認許しない。ただし，法律又は条約の規定により認許された外国法人は，この限りでない（民法35条1項）。
（旧）　外国法人は，国，国の行政区画及び商事会社を除く外，其成立を認許せず。但，法律又は条約に依りて認許せられたるものは，此限に在らず
　前項の規定に依りて認許せられたる外国法人は日本に成立する同種の者と同一の私権を有す但外国人が享有することを得ざる権利及び法律又は条約中に特別の規定あるものは此限に在らず（旧民法36条）

(S0501D) 《対抗要件》
※←　外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは，その事務所の所在地において登記するまでは，第三者は，その法人の成立を否認することができる（民法37条5項）。
（旧）　第45条第3項，第46条及び前条の規定は外国法人が日本に事務所を設くる場合にも亦之を適用す但外国に於て生じたる事項に付ては其通知の到達したる時より登記の期間を起算す
　外国法人が始めて日本に事務所を設けたるときは，其事務所の所在地に於て登記を為すまでは，他人は，其法人の成立を否認することを得（民法49条）
←　なお，平成14年の商法改正により，日本において取引を継続してしようとする外国会社について，日本における営業所の設置義務を廃止する（商法479条第1項）。もっとも，外国会社が日本に営業所を置かないときは，その外国会社は，日本における代表者を定めてその代表者につき登記をしなければならない。

(S0501E) 《禁止・制限》
※←1 外国法人は，国，国の行政区画及び外国会社を除き，その成立を認許しない。ただし，法律又は条約の規定により認許された外国法人は，この限りでない。
2 前項の規定により認許された外国法人は，日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。ただし，外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については，この限りでない（民法35条2項但）。
（旧）　外国法人は国，国の行政区画及び商事会社を除く外，其成立を認許せず。但，法律又は条約に依りて認許せられたるものは此限に在らず
　前項の規定に依りて認許せられたる外国法人は，日本に成立する同種の者と同一の私権を有す。但，外国人が享有することを得ざる権利，及び法律又は条約中に特別の規定あるものは，此限に在らず（民法36条2項）
(L0202D) 《外国法人》
　外国人が享有することのできない権利であって，認許された外国法人は，日本において成立する同種の法人と同様に，その権利を取得することが［できる訳ではない］（民法35条2項但）。