(1910) 【裁判官の身分保障】

**

**

(1910A) 《》
　裁判官弾劾裁判所は罷免の訴追を受けた裁判官を罷免する裁判ができるのであるから，情状により，罷免よりも軽い処分である職務の一定期間の停止の処分をすることができる。

(1910B) 《》
　最高裁判所裁判官及び下級裁判所裁判官の報酬は在任中減額できないこととされているが，最高裁判所裁判官については懲戒処分として減給処分をすることは認められていないものの，下級裁判所裁判官については，法律によって減給処分をすることが認められている。

(1910C) 《》
　立法府・行政府の職員の給与については減額することなく，裁判官の報酬につき，財政上の理由により，法律の改正によって一律に１割減額することは許される。

(1910D) 《》
　最高裁判所は，裁判官に対する政治運動禁止の要請は一般職の国家公務員に対する政治的行為禁止の要請よりも強いものというべきであるとした上，裁判官に対する分限事件の裁判は裁判官に対する懲戒処分が適正に行われることを保障するため，公開でこれを行わなければならないとしている。

(1910E) 《》
　最高裁判所裁判官国民審査法においては，審査人は，罷免を可とする裁判官については投票用紙の当該裁判官に対する記載欄に「×」の記号を記載し，罷免を可としない裁判官については，何らの記載もしないという方法を定めており，最高裁判所はこの投票方法を合憲としているが，その根拠を国民審査制度が最高裁判所裁判官の解職の制度であることに求めている。