刑法

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　学生ＡないしＣは，正犯を幇助した者を幇助した甲の可罰性について会話している。発言中の【①】から【④】までに後記Ⅰ群から，《ａ》及び《ｂ》に後記Ⅱ群から，（ⅰ）及び（ⅱ）に後記Ⅲ群から適切な文章を入れた場合，それぞれに入るものの組合せとして正しいものは，後記１から５までのうちどれか。

【発言】

学生Ａ

　僕は，甲は処罰されると考える。【①】と考えるからだ。

学生Ｂ

　僕も，甲は処罰されると考えるが，Ａ君の【①】という見解とは異なり，【②】と考える。Ａ君の意見には，《ａ》という問題がある上，正犯概念の厳格な理解が困難となり，（ⅰ）と思う。

　むしろ，【③】と考えて甲の可罰性を認めていくべきだ。

学生Ｃ

　僕は，甲は不可罰と考える。【②】と考えることについてはＢ君に賛成だが，Ｂ君のように【③】と考えると，《ｂ》という問題があり，また，（ⅱ）と思う。

　そこで，僕は【③】と考えるのではなく，【④】と考えている。

　【Ⅰ群】
ア　刑法第６２条第１項の「正犯」は，基本的構成要件に該当する行為を行った者に限られる
イ　刑法第６２条第１項の「正犯」は，基本的構成要件に該当する行為を行った者に限られず，修正された構成要件に該当する行為を行った者を含む
ウ　刑法第６２条第１項の「幇助」は，幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られる
エ　刑法第６２条第１項の「幇助」は，幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られず，直接幇助者を介在させた間接的な関与により正犯を幇助した場合を含む
【Ⅱ群】
オ　「幇助の教唆」も「幇助の幇助」も正犯の実行を容易にしたという点で同様であるから，刑法第６２条第１項で処罰されることになり，同条第２項の固有の意義が失われる
カ　「教唆の教唆」も「幇助の教唆」も刑法第６１条第１項で処罰されることになるから，同条第２項，第６２条第２項の固有の意義が失われる
【Ⅲ群】
キ　幇助行為は定型性が緩やかであるので，処罰範囲が不当に拡大するおそれがある
ク　「実行」という概念の統一的な解釈が困難となる　

　１　①イ－ｂカ　　　　　２　②ア－ⅱク　　　　　３　③イ－ａオ　　　　　４　④ウ－ⅰキ　　　　　５　ａカ－ⅱキ

（参照条文）
刑法第６１条第１項人を教唆して犯罪を実行させた者には，正犯の刑を科する。
同条第２項教唆者を教唆した者についても，前項と同様とする。
同法第６２条第１項正犯を幇助した者は，従犯とする。
同条第２項従犯を教唆した者には，従犯の刑を科する。