憲法

◎

　次のＡからＥまでの記述のうち，誤っているものを2個組み合わせたものは，後記１～５までのうちのどれか。

Ａ

　天皇が国庫から内廷費を受けることについては，「皇室の財産授受に関する国会の議決」（憲法第８条）を要する。

Ｂ

　皇后が皇太子妃に高価な指輪を贈与することについては，皇室の財産授受に関する国会の議決」を要しない。

Ｃ

　「皇室の財産授受に関する国会の議決」には，衆議院の優越が認められない。

Ｄ

　皇族が，その所有する私的な財産からの収入を，その生活費の一部に充てることについては，「皇室の費用に関する国会の議決」（憲法88条）を要する。

Ｅ

　「皇室の費用に関する国会の議決」には，衆議院の優越が認められる。

　１×ＡＤ　　　　　　２　ＢＥ　　　　　　３　ＣＢ　　　　　　４　ＤＣ　　　　　　５　ＥＡ　　　

◎	次のＡからＥまでの記述のうち，誤っているものを2個組み合わせたものは，後記１～５までのうちのどれか。 (0716) 【】 **
Ａ	天皇が国庫から内廷費を受けることについては，「皇室の財産授受に関する国会の議決」（憲法第８条）を要する。誤り。 (0716A) 《》　天皇が国庫から内廷費を受けることについては，「皇室の財産授受に関する国会の議決」（憲法第８条）を要する。 (0716A) 《》 ※←　内廷費は，内廷にある天皇・皇族の日常の費用（生活費）その他の内廷諸費にあてるものであり，憲法88条の「皇室の費用」にあたる。それゆえ，同条後段により「予算に計上して国会の議決を経」ることになる。このうえさらに，８条の「国会の議決」を経る必要はない。（憲法条）。（最判昭）。
Ｂ	皇后が皇太子妃に高価な指輪を贈与することについては，皇室の財産授受に関する国会の議決」を要しない。正しい。 (0716B) 《》　皇后が皇太子妃に高価な指輪を贈与することについては，皇室の財産授受に関する国会の議決」を要しない。 (0716B) 《》 ※←　憲法８条が皇室の財産授受について国会の議決を要するとしたのは，皇室が私有財産を有することを前提に，特定の個人と結びついて巨大な皇室財産を形成することを阻止し，もって皇室経済に民主的統制を加えるためである。とすれば，皇室財産が内部的に移転することについて，民主的統制を加える必要はない。したがって，皇后が皇太子妃に高価な指輪を贈与することについては，国会の議決を要しない。（憲法条）。（最判昭）。
Ｃ	「皇室の財産授受に関する国会の議決」には，衆議院の優越が認められない。正しい。 (0716C) 《》　「皇室の財産授受に関する国会の議決」には，衆議院の優越が認められない。 (0716C) 《》 ※←　憲法８条は皇室財産の授受が「国会の議決」に基づくことを定めているが，その議決は，法律や予算の議決の場合と違って，衆議院の優越が規定されていない。（憲法条）。（最判昭）。
Ｄ	皇族が，その所有する私的な財産からの収入を，その生活費の一部に充てることについては，「皇室の費用に関する国会の議決」（憲法88条）を要する。誤り。 (0716D) 《》　皇族が，その所有する私的な財産からの収入を，その生活費の一部に充てることについては，「皇室の費用に関する国会の議決」（憲法88条）を要する。 (0716D) 《》 ※←　天皇や皇族が，その私的な財産から生ずる収入やその他の収入を生活費の一部にあてることは，予算に計として国会の議決を経るべき性質のものではなく，憲法88条の適用を受けない。（憲法条）。（最判昭）。
Ｅ	「皇室の費用に関する国会の議決」には，衆議院の優越が認められる。正しい。 (0716E) 《》　「皇室の費用に関する国会の議決」には，衆議院の優越が認められる。 (0716E) 《》 ※←　皇室の費用は,「予算に計上して」国会の議決を経なければならない（§88後段）。したがって，憲法60条２瑣の適用があり，衆議院の優越が認められる。（憲法条）。（最判昭）。
	１×ＡＤ　　　　　　２　ＢＥ　　　　　　３　ＣＢ　　　　　　４　ＤＣ　　　　　　５　ＥＡ