憲法

◎

　「法の支配」の原理の特色は，第二次大戦前のドイツにおける「法治主義」ないし「法治国家」の概念と著しく異なるとされている。次の［　］内には，このような意味での「法治主義」，「法治国家」，「法の支配」の言葉のいずれかが入るが，「法の支配」が入るのはいくつあるか。

Ａ

　国家が国民の権利義務をどう定めるべきか，定めるべきでないかを決めるものは，［　　］と厳格に区別される自由主義（基本権）の思想だといわれている。

Ｂ

　［　　］の観念は，国家活動の目的ないし内容とは全く関係がない形式的な，ただそれらの実現の方式及び性格に関係するだけのものである。

Ｃ

　憲法の形式的最高性は，実質的最高性によって基礎づけられているが，この実質的最高性という観念は，［　　］の原理の核心的な理念が具体化されている。

Ｄ

　［　　］の観念は，もっぱら国家の作用が行われる形式又は手続の観点から構成された名称である。したがってそれは，いかなる国家形態に対しても中立的な態度をとる観念である。

Ｅ

　［　　］という場合の法は，権威主義的な法を含む意味の法一般をいうのではなく，特定の倫理思想と結びついた法をいうのである。

　１　１個　　　　　２○２個　　　　　３　３個　　　　　４　４個　　　　　５　５個　　　

◎	「法の支配」の原理の特色は，第二次大戦前のドイツにおける「法治主義」ないし「法治国家」の概念と著しく異なるとされている。次の［　］内には，このような意味での「法治主義」，「法治国家」，「法の支配」の言葉のいずれかが入るが，「法の支配」が入るのはいくつあるか。 (0117) 【法の支配と法治主義】　［法治主義］および「法治国家」は，いかなる政治体制とも結合しうる形式的な観念であり，法の中身の合理性は問題とされないのに対し，［法の支配］は，法の中身の合理性を要求する実質的な観念であり，人権の観念と結びつくものである。　「法の支配」が入るのはＣとＥの２個であり，正解は（2）になる。
Ａ	国家が国民の権利義務をどう定めるべきか，定めるべきでないかを決めるものは，［　　］と厳格に区別される自由主義（基本権）の思想だといわれている。 (0117A) 《》　国家が国民の権利義務をどう定めるべきか，定めるべきでないかを決めるものは，［法治主義］と厳格に区別される自由主義（基本権）の思想だといわれている。 (0117A) 《》 ※←　自由主義（基本権）の思想と厳格に区別されるのであるから，自由主義に基づく［法の支配］で　はなく，「法治主義」が入る。（憲法条）。（最判昭）。
Ｂ	［　　］の観念は，国家活動の目的ないし内容とは全く関係がない形式的な，ただそれらの実現の方式及び性格に関係するだけのものである。 (0117B) 《》　［法治国家］の観念は，国家活動の目的ないし内容とは全く関係がない形式的な，ただそれらの実現の方式及び性格に関係するだけのものである。 (0117B) 《》 ※←　国家活動の目的・内容とは関係のない形式的なものとあるので，［法の支配］は入らない。〔　　〕　の概念は，国家活動の目的ないし内容とは･‥実現の方式，及び性格に関係する］とある。［実現の方式］という点からは，「法治国家」が妥当しよう。「法治主義」が入る余地もある。（憲法条）。（最判昭）。
Ｃ	憲法の形式的最高性は，実質的最高性によって基礎づけられているが，この実質的最高性という観念は，［　　］の原理の核心的な理念が具体化されている。 (0117C) 《》　憲法の形式的最高性は，実質的最高性によって基礎づけられているが，この実質的最高性という観念は，［法の支配］の原理の核心的な理念が具体化されている。 (0117C) 《》 ※←　［　　］の原理の核心的な理念が具体化］したものが憲法の実質的最高性であるとあることから，［法の支配］が入る。（憲法条）。（最判昭）。
Ｄ	［　　］の観念は，もっぱら国家の作用が行われる形式又は手続の観点から構成された名称である。したがってそれは，いかなる国家形態に対しても中立的な態度をとる観念である。 (0117D) 《》　［法治国家］の観念は，もっぱら国家の作用が行われる形式又は手続の観点から構成された名称である。したがってそれは，いかなる国家形態に対しても中立的な態度をとる観念である。 (0117D) 《》 ※←　「国政の行われる形式又は手続の観点から構成された名称」「いかなる国家形態に対しても中立的態度をとる観点」ということから，「法の支配」は入らない。「法治国家」が入る。（憲法条）。（最判昭）。
Ｅ	［　　］という場合の法は，権威主義的な法を含む意味の法一般をいうのではなく，特定の倫理思想と結びついた法をいうのである。 (0117E) 《》　［法の支配］という場合の法は，権威主義的な法を含む意味の法一般をいうのではなく，特定の倫理思想と結びついた法をいうのである。 (0117E) 《》 ※←　「特定の倫理と結びついた法をいう」のであるから，「法治主義」ではなく，「法の支配」が入る。（憲法条）。（最判昭）。
	１　１個　　　　　２○２個　　　　　３　３個　　　　　４　４個　　　　　５　５個