【認容請求権説】〈請求者負担説〉（鈴木説）　　(S0307) 【物権的請求権】
物上請求権は，物に対する追及権であり，人に対する追及権ではない。
→ 人に対して受忍を請求しうるにとどまり
⇒ その費用は，原則として物上請求権者が負担する。
but 相手方に故意または過失があれば，不法行為責任を追及でき，
　 これをもって費用に当てることができる。

【行為請求権説】〈相手方負担説〉（判例）
民法の過失責任との均衡を保たせる必要性
→ 妨害状態が相手方の責めに帰すべき事由によって生じたときは，
相手方に対し積極的な排除行為，したがって，その費用の負担を請求できる。
but 相手方の責めに帰すべからざる事由によって生じたときは，
　物権者自身がその排除をすることを相手方に認容させうるにとどまり，
　その費用も物権者が負担すべき

(S0307A) 《不可抗力》
※←　【認容請求権説】によると，不可抗力の場合，いずれも請求者が費用を負担する。

(S0307B) 《不可抗力》
※←　【行為請求権説】によると，不可抗力の場合，妨害排除請求では相手方が費用を負担するが，返還請求については（例外的に認容請求と解するので），請求者が費用を負担する。

(S0307C) 《不可抗力》
※←　【行為請求権説】によると，不可抗力の場合，妨害排除請求（乙の土地上にある樹木を取り除いてもらう）では相手方甲が費用を負担するが，返還請求（甲所有の樹木を返してもらう）については（例外的に認容請求と解するので），請求者（樹木の所有者）甲が費用を負担する。

(S0307D) 《相手方の関与》
※←　【行為請求権説】によっても，相手方乙が積極的に関与して樹木の占有を取得したわけではないので（例外的に認容請求と解し），請求者甲が費用を負担する。

(S0307E) 《相手方の関与》
※←　【認容請求権説】によれば，相手方甲が侵害を発生させた場合には，例外的に相手方甲が費用を負担し，【行為請求権説】によれば，原則どおり，相手方甲の費用負担となる。