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(0327A) 《消滅時効》
※←　（民法条項）。時効消滅した債権を自働債権として相殺することも，その自慟債権が消滅時効の完成前に相殺適状にあった場合には，許される（§508)。これは，相殺適状にあれば当事者は清算済みと考えるのが通常であるからである。したがって，「自働債権が時効によって消滅している場合には相殺することができない」という記述は誤っている。なお，相手方は時効利益を放棄して，時効によって消滅している債権を受慟債権として相殺することはできる。　*

(0327B) 《保証人》
※←　（民法条項）。　相殺をするには，同一当事者間で債権が対立していることが必要であるから（§505 �T），自慟債権は，原則として，相殺者が被相殺者に対して有する債権であることを要する。ただし，保証人は主債務者が債権者に対して有する反対債権をもって相殺することができるから（§457 �U),保証債務者は，主債務者が被相殺者に対して有する債権をもって相殺することができる。これは，連帯債務（§436)の場合と同様に，求償関係を簡略にするために認められたものである。*

(0327C) 条件・期限《》
※←　（民法条項）。　相殺の意思表示には，条件・期限を付けることはできない（§506 �T後段）。なぜなら，条件を付けると法律関係が複雑となり相手方の地位を不安定にするし，期限を付けても相殺の効果は相殺適状時に遡及する（§506 �U）ので無意味だからである。*

(0327D) 《不法行為》
※←　（民法条項）。不法行為による損害賠償債権を受慟債権とする柤殺は許されない（§509）。これは，�@不法行為の誘発防止（腹いせ防止）と�A「薬代は現金で」（被害者に対する現実の弁済の必要性）という被害者保護の趣旨に基づく。これに対して，不法行為による損害賠償債権を自慟債権とする相殺は許される（判例・通説）。なぜなら，被害者が相殺をする場合には，被害者保護を図る509条の趣旨が妥当しないからである。　*

(0327E) 《差押後》
※←　（民法条項）。　支払いの差止めを受けた第三債務者は，その後に取得した債権を自慟債権として相殺することはできない（§511)。これは，相殺の合理的期待のない場合に，第三債務者が相殺することによって，差押債権者の利益を害することはできないとする趣旨に基づく。したがって，債権が差し押さえられた場合，第三債務者は，差押え後に取得した債権を白耡債権とする柤殺を差押債権者に対抗できない。
　また，差押債務者（差押債権の債権者）も，差押債権を自働債権とし，第三債務者が差押え後に取得した債権を受慟債権として，相殺することはできない。なぜなら，差押債務者が差押債権の処分をすることは許されないからである（§481,民執§145 �T）。これにより，債権に対する差押えの実効性が確保される。*