【悪意者排除説】　悪意者は，民法177条の第三者にあたらない（設問見解）

【悪意者包含説】　→　背信的悪意者排除説へ

根拠とならない
(S0916A) 《悪意者包含説の形式的根拠》
　［悪意者包含説は］，民法177条は，「第三者」の範囲を限定していない［ので，悪意者も含めざるを得ないと主張する］（大判明45.6.1，最判昭32.9.19）。

根拠となる
(S0916B) 《悪意者排除説の実質的根拠》
　［悪意者排除説は］，登記は取引の安全の確保を目的とするから，これを信頼した者のみが保護されるべきである［ので，悪意者は登記を信頼した者とは言えず，民法177条の第三者に含まれないと主張する］。

根拠とならない
(S0916C) 《悪意者排除説に対する悪意者包含説からの批判》
　［民法177条の第三者から悪意者を排除すれば］，物権の得喪・変更を第三者に対抗することができるかどうかが問題となるたびに，第三者の善意・悪意が訴訟上争われることになる［が，そのような事態は好ましくないので， 悪意者包含説は，第三者の善意・悪意を問うべきではないと主張する］。

根拠とならない
(S0916D) 《悪意者包含説の実質的根拠》
　［悪意者包含説は］，公示の原則は，（第三者の善意・悪意を問題とすることなく）登記の有無によって画一的に規律することにより，その目的を達成することができる［ので，そのほうが公示の原則にも適合すると主張する］。

根拠となる
(S0916E) 《悪意者排除説のバランス論》
　［悪意者排除説は］，不動産よりも頻繁に取引が行われる動産の即時取得については，善意が要件とされている［ので，動産より取引が頻繁でない不動産の場合に善意を要求しないのはバランスを欠くと主張する］。