(0630) 【共同抵当】
割付主義　Ａ　共同抵当の目的である複数の不動産は，その価額の割合に応じて被担保債権を担保するものである。

自由選択主義

　共同抵当とは，債権者が同一の債権の担保として数個の不動産に対して有する抵当権をいう（§392�T）。
【同時配当の場合〜割付主義】　
　共同抵当の目的である各不動産を同時に競売し代価を配当する場合には，各不動産の価額に応じて債権の負担が分けられる（§392�T ， 割付主義）。このような割付は，後順位抵当権者が存在しない場合であっても同様に必要であると解されている。
【異時配当の場合〜優先主義】
　共同抵当において，ある不動産の代価のみを配当すべき場合には，抵当権者はその代価につき債権の全部の弁済を受けることができる。この場合，次順位にある抵当権者は，同時配当の場合に関する392条１項の規定に従い，上記抵当権者が他の不動産につき弁済を受けるべき金額に満つるまで，これに代位して抵当権を行うことができる（§392�U， 優先主義）。

(0630A) 《割付主義》
※←　（民法392条1項）。　同時配当の場合には，共同抵当権者は各不動産からその価額に応じた額の配当を受けるが（§392�T），これはＡから導かれる。

(0630B) 《自由選択主義》
※←　（民法392条2項）。複数の不動産が順次に競売される場合（異時配当の場合）にも共同抵当権者が最終的に受ける配当の結果は異ならないということがＣから導かれ，その場合に，先に競売された不動産上の後順位抵当権者が他の不動産上の共同抵当権に代位することにして，後順位抵当権者の保護を図ることがＢから導かれる。　*

(0630C) 《順位の上昇》
※←　（民法条項）。異時配当の場合に，他の不動産上の後順位抵当権の順位の上昇を認めてしまうと，先に竸売された不動産上の後順位抵当権者は他の不動産上の共同抵当権について優先的な代位が認められないことになり，Ｂの要請に反する。また，本肢の記述は392条２項に反するものであって, A, Cとも関係がない。

(0630D) 《後順位抵当権者》
※←　（民法条項）。本肢のようにいうことができれば，後順位抵当権者の保護は図られるので，Ｂから導かれるとも考えられそうではある。しかし，民法は392条で，不動産所有者や後順位抵当権者の保護を図りながら，共同抵当権における各抵当物件についての合理的な負担割付の措置を規定しているのであり，本肢のようにいうことは392条１項に反する。したがって，本肢の記述はＡＢＣのいずれからも導かれないというべきであろう。　*

(0630E) 《一部の放棄》
※←　（民法条項）。この場合の後順位抵当権者の地位は，債務者の所有不動産とともに共同抵当権を設定した物上保証人に類似するから, 504条を類推適用し，後順位抵当権者の保護を図るべきである。　すなわち，本肢の記述はＢから導くことができる。