民法

◎	条件及び期限に関する次のアからオまでの各記述のうち，誤っているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (2205) 【条件及び期限】 **
ア	判例によれば，条件の成就によって利益を受ける者が故意に条件を成就させた場合には，相手方は，条件が成就していないものとみなすことができる。正しい。 (2205A) 《故意の条件成就》　条件の成就によって利益を受ける者が故意に条件を成就させた場合，相手方は，【条件】が成就していないものとみなすことができる（最判平6.5.31）。 (2205A) 《故意の条件成就》 ※←　条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときは，民法130条の類推適用により，相手方は条件が成就していないものとみなすことができる（最判平6.5.31）。
イ	相殺の意思表示には，期限を付することはできるが，条件を付することはできない。誤り。 (2205B) 《相殺》　【相殺】の意思表示には，期限を付することが［できないし］，条件を付することもできない（民法506条1項）。 (2205B) 《相殺》 □←　相殺は単独行為であり，単独行為は相手方を不安定な地位に置くことになるので。　相殺には遡及効があるので，期限を付するのは無意味だから。 ※←　相殺は，当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において，その意思表示には，条件又は期限を付することができない（民法506条1項）。
ウ	金銭債務の債務者が担保を提供する義務を負う場合において，担保を提供しないときは，債務者は，期限の利益を主張することができない。正しい。 (2205C) 《期限の利益》　金銭債務の債務者が担保を提供する義務を負う場合に，担保を提供しないとき，債務者は，期限の利益を主張することができない（民法137条3号）。 (2205C) 《期限の利益》 □←　担保提供義務の履行がない場合には，債権者の権利の実現が困難となるから。 ※←　次に掲げる場合には，債務者は，期限の利益を主張することができない（民法137条3号）。 ③ 債務者が担保を供する義務を負う場合において，これを供しないとき。
エ	相当の期間を定めて催告をするのと同時に，その期間内に履行されないことを停止条件として解除の意思表示をしても，その解除は無効である。誤り。 (2205D) 《解除》　相当の期間を定めて催告をするのと同時に，その期間内に履行されないことを停止条件として【解除】の意思表示をすれば，その【解除】は［有効］である（大判明43.12.9）。 (2205D) 《解除》 ※←　停止条件付解除権の行使であるが，相手方を不安定な地位に陥らせることはないから（民法541条）。
オ	停止条件付の法律行為は，その条件が単に債務者の意思のみに係るときは，無効である。正しい。 (2205E) 《随意条件》　停止条件付の法律行為は，その【条件】が単に債務者の意思のみに係るとき，無効である（民法134条）。 (2205E) 《随意条件》 □←　本人の意思次第で履行しても，しなくても良いものであり，法律的拘束力を持たないから。 ※←＝　停止条件付法律行為は，その条件が単に債務者の意思のみに係るときは，無効とする（民法134条）。
	１　アウ　　　　　　２　アエ　　　　　　３×イエ　　　　　　４　イオ　　　　　　５　ウオ