民法

◎	果実に関する次の１から５までの各記述のうち，誤っているものはどれか。 (2103) 【果　実】 **
１	善意の占有者は，占有物から生ずる果実を取得するが，強迫によって占有をしている者は，果実を返還する義務を負い，果実を既に消費している場合には果実の代価を償還する義務を負う。正しい。 (2103A) 《悪意の占有者》　善意の占有者は，占有物から生ずる【果実】を取得するが，強迫によって占有をしている者は，果実を返還する義務を負い，果実を既に消費している場合，【果実】の代価を償還する義務を負う（民法190条2項）。 (2103A) 《悪意の占有者》 ※←1 悪意の占有者は，果実を返還し，かつ，既に消費し，過失によって損傷し，又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。 2 前項の規定は，暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する（民法190条2項）。
２	売主は，目的物の引渡しを遅滞している場合でも，引渡しまで果実を収取することができる。正しい。 (2103B) 《売主》　売主は，目的物の引渡しを遅滞している場合でも，引渡しまで【果実】を収取することができる（民法575条1項）。 (2103B) 《引渡し前》 □←　買主が代金を支払わない以上，果実は売主に帰属する（大判大13.9.24）。 ※←　まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは，その果実は，売主に帰属する（民法575条1項）。
３	受遺者は，遺言者がその遺言に別段の意思を表示しない限り，遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する。正しい。 (2103C) 《受遺者》　受遺者は，遺言者がその遺言に別段の意思を表示しない限り，遺贈の履行を請求することができる時から【果実】を取得する（民法992条）。 (2103C) 《遺贈》 ※←　受遺者は，遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する。ただし，遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは，その意思に従う（民法992条）。
４	不動産質権者は，質権の目的物である不動産の用法に従いこれを使用することができるが，不動産から生じた果実を取得することはできない。誤り。 (2103D) 《不動産質権者》　不動産質権者は，質権の目的物である不動産の用法に従いこれを使用することができるし，不動産から生じた【果実】を取得することが［できる］（民法356条）。 (2103D) 《不動産質権者》 □←　使用収益権の一内容として，果実収得権を有する。 ※←　不動産質権者は，質権の目的である不動産の用法に従い，その使用及び収益をすることができる（民法356条）。
５	Ａが，Ｃに賃料毎月月末支払の約定で賃貸している家屋を，月の途中でＢに贈与した場合，ＡＢ間に特段の合意がなければ，当該月の賃料は日割りによってＡ及びＢに分配される。正しい。 (2103E) 《法定果実》　Ａが，Ｃに賃料毎月月末支払の約定で賃貸している家屋を，月の途中でＢに贈与した場合，ＡＢ間に特段の合意がなければ，当該月の【賃料】は日割りによってＡ及びＢに分配される（民法89条2項）。 (2103E) 《日割り》 ※←　法定果実は，これを収取する権利の存続期間に応じて，日割計算によりこれを取得する（民法89条2項）。
	正　解　　　４