民法

◎	信義誠実の原則又は権利濫用禁止の原則に関する次のアからオまでの各記述のうち，権利濫用禁止の原則について述べているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (2001) 【信義誠実と権利濫用】 *　*
ア	国は，公務員に対して，その生命及び健康等を危険から保護するように配慮すべき義務を負う。信義誠実。 (2001A) 《安全配慮義務》　国は，公務員に対して，その生命及び健康等を危険から保護するように配慮すべき義務を負う（最判昭50.2.25）。 (2001A) 《安全配慮義務》 ※←　国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたつて、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負つているものと解すべきである（最判昭50.2.25）。
イ	解除権を有する者が長期にわたりこれを行使せず，相手方においてその権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至ったという特段の事情がある場合には，解除権の行使は許されない。信義誠実。 (2001B) 《解除権》　解除権を有する者が長期にわたりこれを行使せず，相手方においてその権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至ったという特段の事情がある場合，《解除権》の行使は許されない（最判昭30.11.22）。 (2001B) 《解除権》 ※←　解除権を有する者が久しきに亘りこれを行使せず、相手方においてその権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至つたため、その後にこれを行使することが信義誠実に反すると認められるような特段の事由がある場合には、右解除は許されないと解するのが相当であるが、原審認定の事実関係（原判決参照）の下における解除権の行使は、未だ右の場合に該当するものと認めることはできない（最判昭30.11.22）。
ウ	動産売買における引渡場所について，買主が売主に問い合わせをすれば知ることが容易であった場合には，問い合わせを怠った買主は，遅滞の責任を免れない。信義誠実。 (2001C) 《引渡場所》　動産売買における引渡場所について，買主が売主に問い合わせをすれば知ることが容易であった場合，問い合わせを怠った買主は，遅滞の責任を免れない（大判大14.12.3）。 (2001C) 《引渡場所》 ※←　動産売買における引渡場所が漠然としていても、買主は信義則上、問い合わせるべきで、これを怠れば遅滞となる（大判大14.12.3）。
エ	妨害により所有権が侵害されても，生じた損失が軽微であり，妨害を除去することが著しく困難で，多大の費用を要する場合には，不当な利益を獲得する目的で妨害の除去を求めることは許されない。権利濫用禁止。 (2001D) 《侵害の除去》　妨害により所有権が侵害されても，生じた損失が軽微であり，妨害を除去することが著しく困難で，多大の費用を要する場合，不当な利益を獲得する目的で妨害の除去を求めることは許されない（大判昭10.10.5）。 (2001D) 《侵害の除去》 ※←　第三者が不当な利得を企図し、別段の必要がないのに侵害の係る物件を買収し、所有者としての侵害の除去を要求することは、権利濫用になる（大判昭10.10.5）。
オ	権利の行使であっても，社会観念上被害者が認容しなければならない程度を超える場合には，不法行為が成立する。権利濫用禁止。 (2001E) 《不法行為》　権利の行使であっても，社会観念上被害者が認容しなければならない程度を超える場合，【不法行為】が成立する（大判大8.3.3）。 (2001E) 《不法行為》 ※←　権利行使の適当な範囲内にあるとは言えないから（大判大8.3.3）。
	１　アイ　　　　　　２　アオ　　　　　　３　イウ　　　　　　４　ウエ　　　　　　５○エオ