民法

◎	契約上の債務の不履行の場合における当該債務の履行の強制に関する次の１から５までの各記述のうち，誤っているものを２個選びなさい。 (1917) 【履行の強制】 **
１	履行の強制を求めるとともに，損害賠償を請求できる場合がある。正しい。 (1917A) 《損害賠償》　【履行の強制】を求めるとともに，損害賠償を請求できる場合がある（民法414条4項）。 (1917A) 《損害賠償》 ※←　前3項の規定〔履行の強制〕は，損害賠償の請求を妨げない（民法414条4項）。
２	履行の強制を求めることができず，損害賠償の請求のみできる場合がある。正しい。 (1917B) 《強制の方法》　【履行の強制】を求めることができず，損害賠償の請求のみできる場合がある。 (1917B) 《強制の方法》 ※←　履行の強制の方法としては，直接強制・代替執行・間接強制等が認められるが，どの方法による強制も適当でない場合がある。　将来結婚する旨の契約，芸術家が作品を創造する場合。　損害賠償の請求は，債務不履行につき帰責事由があれば認められる。
３	代替執行が可能なときには，間接強制を求めることはできない。誤り。 (1917C) 《間接強制》　代替執行が可能なときにも，【間接強制】を求めることが［認められる］（民執法173条1項）。 (1917C) 《間接強制》 □←　平成15年の民事執行法の改正により，可能となった。 ※←　第168条第1項，第169条第1項，第170条第1項及び第171条第1項に規定する強制執行は，それぞれ第168条から第171条までの規定により行うほか，債権者の申立てがあるときは，執行裁判所が前条第1項に規定する方法により行う。この場合においては，同条第2項から第5項までの規定を準用する（民執法173条1項）。
４	履行の強制を求めることも，損害賠償の請求もできない場合がある。正しい。 (1917D) 《自然債務》　【履行の強制】を求めることも，損害賠償の請求もできない場合がある。 (1917D) 《執行力》 □←　自然債務の場合である。 ※←　将来結婚する旨の契約，芸術家が作品を創造する場合。　損害賠償の請求は，債務不履行につき帰責事由がなければ認められない。
５	意思表示を命ずる確定判決の執行は間接強制による。誤り。 (1917E) 《代用判決》　意思表示を命ずる確定判決の執行は【間接強制】による（民法414条2項但）。 (1917E) 《意思表示》 ※←　債務の性質が強制履行を許さない場合において，その債務が作為を目的とするときは，債権者は，債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし，法律行為を目的とする債務については，裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる（民法414条2項但）。
	正　解　　　３　　５