民法

◎	売主の担保責任に関する次の１から５までの記述のうち，誤っているものはどれか。 (1801) 【売主の担保責任】 *　*
１	担保責任を免除する特約を結ぶことはできるが，その場合も，目的物について売主が自分で第三者のために設定した権利があったときは，売主は，責任を免れない。正しい。 (1801A) 《免除》　担保責任を免除する特約を結ぶことはできるが，その場合も，目的物について売主が自分で第三者のために設定した権利があったとき，売主は，責任を免れない（民法572条）。 (1801A) 《免除》 ※←　売主は，第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても，知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については，その責任を免れることができない（民法572条）。
２	目的物に地上権による制限があった場合の担保責任追及には期間制限があるが，抵当権の行使によって買主が権利を失った場合の担保責任追及には期間制限がない。正しい。 (1801B) 《期間制限》　目的物に地上権による制限があった場合の担保責任追及には期間制限があるが（民法566条3項），抵当権の行使によって買主が権利を失った場合の担保責任追及には期間制限がない（民法567条）。 (1801B) 《期間制限》 □←　速やかに処理すべき特別の理由がないから。 ※←　前2項の場合において，契約の解除又は損害賠償の請求は，買主が事実を知った時から１年以内にしなければならない（民法566条3項）。
３	強制競売も売買であるから，担保責任は通常の売買と同じように課される。誤り。 (1801C) 《強制競売》　【強制競売】も売買であるが，担保責任は通常の売買と同じように［課される訳ではない］（民法568条）。 (1801C) 《強制競売》 ※←　瑕疵担保責任は，認められず（民法570条），権利の瑕疵についてのみ認められ，損害賠償請求についても制限が加えられている（民法568条）。 ※←　売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは，第566条の規定を準用する。ただし，強制競売の場合は，この限りでない（民法570条）。 ※←　1 強制競売における買受人は，第561条から前条までの規定により，債務者に対し，契約の解除をし，又は代金の減額を請求することができる。 2 前項の場合において，債務者が無資力であるときは，買受人は，代金の配当を受けた債権者に対し，その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。 3 前2項の場合において，債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき，又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは，買受人は，これらの者に対し，損害賠償の請求をすることができる（民法568条）。
４	数量指示売買において数量が多すぎた場合，売主は，民法の担保責任の規定の類推適用を根拠として代金増額を請求することはできない。正しい。 (1801D) 《代金の増額》　【数量指示売買】において数量が多すぎた場合，売主は，民法の担保責任の規定（民法565条）の類推適用を根拠として代金増額を請求することはできない（最判平13.11.27）。 (1801D) 《数量指示売買》 ※←　数量が超過する場合に，買主が超過部分の代金を追加して支払う旨の合意が認められないから。 ※←＝　いわゆる数量指示売買において数量が超過する場合，売主は民法565条の類推適用を根拠として代金の増額を請求することはできない（最判平13.11.27）。
５	代金の一部だけを支払った段階で目的物についての隠れた瑕疵が明らかになり，損害賠償請求が認められる場合には，買主は，残代金の支払について，損害賠償との同時履行の抗弁を主張することができる。正しい。 (1801E) 《同時履行の抗弁》　代金の一部だけを支払った段階で目的物についての隠れた瑕疵が明らかになり，損害賠償請求が認められる場合，買主は，残代金の支払について，損害賠償との【同時履行の抗弁】を主張することができる（民法571条）。 (1801E) 《同時履行の抗弁》 ※←　民法570条で損害賠償請求が認められるが，571条により，570条についても，533条の規定が準用されるから。 ※←　第533条の規定は，第563条から第566条まで及び前条の場合について準用する（民法571条）。
	正　解　　　３