民法

◎	Ａは，その所有する甲土地をＢに売却したが，その直後に重ねて甲土地をＣに売却し，さらにＣは直ちにＤに転売した。甲土地の登記名義は，Ａ・Ｃ・Ｄの合意に基づき，Ａから直接にＤに移転された。この事例に関する次の１から４までの記述のうち，誤っているものはどれか。 (1813) 【177条の第三者】　Ａは，その所有する甲土地をＢに売却したが，その直後に重ねて甲土地をＣに売却し，さらにＣは直ちにＤに転売した。甲土地の登記名義は，Ａ・Ｃ・Ｄの合意に基づき，Ａから直接にＤに移転された。　順次譲渡　　Ａ　→　Ｂ　→　Ｃ　→　Ｄ **
１	Ｂから占有者Ｃに対する所有権に基づく甲土地の明渡請求訴訟において，Ｂの登記具備がＣの対抗要件の抗弁に対する再抗弁であるという考え方を採れば，Ｃが背信的悪意者であるとする主張は，Ｂの登記具備に代わる再抗弁と位置付けられる。正しい。 (1813A) 《再抗弁》　Ｂから占有者Ｃに対する所有権に基づく甲土地の明渡請求訴訟において，Ｂの登記具備がＣの対抗要件の抗弁に対する再抗弁であるという考え方を採れば，Ｃが背信的悪意者であるとする主張は，Ｂの登記具備に代わる再抗弁と位置付けられる。 (1813A) 《背信的悪意者》 ※←　背信的悪意者は民法177条の第三者ではないから，登記は不要という主張となるので，登記の具備に代わる再抗弁といえる。
２	背信的悪意者Ｃにも甲土地の所有権が帰属するという考え方を採れば，ＡからＢとＣに二重譲渡があったことをＤが知っていても，それだけでは，登記をしていないＢは甲土地の所有権取得をＤに対抗することができない。正しい。 (1813B) 《二重譲渡の関係》　背信的悪意者Ｃにも甲土地の所有権が帰属するという考え方を採れば，ＡからＢとＣに二重譲渡があったことをＤが知っていても，それだけでは，登記をしていないＢは甲土地の所有権取得をＤに対抗することができない。 (1813B) 《二重譲渡の関係》 ※←　背信的悪意者にも土地の所有権が帰属するのであれば，Ｄは土地所有権をＣから承継取得できるので，二重譲渡の関係となる。
３	背信的悪意者Ｃは甲土地の所有権を取得することができないという考え方を採れば，ＤがＡからＢとＣに二重譲渡があったことを知らずに登記をした場合でも，ＢはＤに甲土地の所有権取得を対抗することができる。正しい。 (1813C) 《無権利者》　背信的悪意者Ｃは甲土地の所有権を取得することができないという考え方を採れば，ＤがＡからＢとＣに二重譲渡があったことを知らずに登記をした場合でも，ＢはＤに甲土地の所有権取得を対抗することができる。 (1813C) 《無権利者》 ※←　Ｄは無権利者であり，民法177条の第三とはならないから。
４	Ｂは，本来，Ｃと対抗関係に立つから，登記の効力については重大な利害関係を有するところ，Ｃは対抗要件を備えていないし，ＡからＤへの中間省略登記は無効であるから，Ｂは，ＣにもＤにも対抗することができる。誤り。 (1813D) 《中間省略登記》　Ｂは，本来，Ｃと対抗関係に立つから，登記の効力については重大な利害関係を有するところ，Ｃは対抗要件を備えていないが，ＡからＤへの中間省略登記は［有効］であるので，Ｂは，ＣにもＤにも対抗することが［できない］（最判昭40.9.21）。 (1813D) 《中間省略登記》 ※←　ＡＣＤ全員の合意がある中間省略登記は有効であり（最判昭40.9.21），ＢＤは対抗関係となる。
	正　解　　　４