民法

◎	無権代理と相続に関する次の１から５までの記述のうち，判例の趣旨に照らし誤っているものを２個選びなさい。 (1833) 【無権代理と相続】 *　*
１	無権代理人が本人の地位を単独相続した場合，本人が追認を拒絶した後に死亡したときでも，無権代理行為は有効になる。誤り。 (1833A) 《追認拒絶後の死亡》　無権代理人が本人の地位を単独相続した場合に，本人が追認を拒絶した後に死亡したとき，【無権代理行為】は有効には［ならない］（最判平10.7.17）。 (1833A) 《追認拒絶後》 ※←　本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には，その後無権代理人が本人を相続したとしても，無権代理行為が有効になるものではない（最判平10.7.17）。
２	無権代理人が本人の地位を共同相続した場合，他の共同相続人のだれかが追認をすることに反対すれば，無権代理行為は有効にならない。正しい。 (1833B) 《共同相続》　無権代理人が本人の地位を共同相続した場合，他の共同相続人の誰かが追認をすることに反対すれば，【無権代理行為】は有効にならない（最判平5.1.21）。 (1833B) 《共同相続》 ※←　無権代理人が本人を共同相続した場合には，共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り，無権代理人の相続分に相当する部分においても，無権代理行為が当然に有効となるものではない（最判平5.1.21）。
３	本人は，無権代理人の地位を単独相続した場合，無権代理行為の追認を拒絶することができる。正しい。 (1833C) 《無権代理人の死亡》　本人は，無権代理人の地位を単独相続した場合，【無権代理行為】の追認を拒絶することができる（最判昭37.4.20）。 (1833C) 《本人の相続》 □←　本人が追認を拒絶することは，何ら信義に反するものではないから。 ※←　本人が無権代理人の家督を相続した場合，被相続人の無権代理行為は，右相続により当然には有効となるものではない（最判昭37.4.20）。
４	本人は，無権代理人の地位を単独相続した場合，無権代理人の相手方に対する責任を承継する。正しい。 (1833D) 《無権代理人の責任》　本人は，無権代理人の地位を単独相続した場合，無権代理人の相手方に対する責任を承継する（最判昭48.7.3）。 (1833D) 《無権代理人の責任》 □←　相続により，無権代理人の責任も，当然に承継するから。 ※←　無権代理人を相続した本人は，無権代理人が民法117条により相手方に債務を負担していたときには，無権代理行為について追認を拒絶できる地位にあつたことを理由として，右債務を免れることができない（最判昭48.7.3）。
５	無権代理人の地位を相続した後に本人の地位をも相続した第三者は，無権代理行為の追認を拒絶することができる。誤り。 (1833E) 《二重相続》　無権代理人の地位を相続した後に本人の地位をも相続した第三者は，【無権代理行為】の追認を拒絶することが［できない］（最判昭63.3.1）。 (1833E) 《二重相続》 ※←　無権代理人を本人とともに相続した者がその後更に本人を相続した場合においては，本人が自ら法律行為をしたと同様の法律上の地位ないし効果を生ずるものと解するのが相当である（最判昭63.3.1）。
	正　解　　　１　　５