民法

◎	親子関係をめぐる訴訟に関する次のアからオまでの記述のうち，正しいものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (1808) 【親子関係をめぐる訴訟】 *　*
ア	妻は，夫が嫡出否認の訴えを提起せずに死亡した場合には，嫡出否認の訴えを提起することができる。誤り（難問）。 (1808A) 《提訴期間》　妻は，夫が嫡出否認の訴えを提起せずに死亡した場合，〔死亡の日から１年以内に〕嫡出否認の訴えを提起することができる（人事訴訟法41条1項）。 (1808A) 《提訴期間》 ※←　夫が子の出生前に死亡したとき又は民法第７７７条に定める期間内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡したときは，その子のために相続権を害される者その他夫の３親等内の血族は，嫡出否認の訴えを提起することができる。この場合においては，夫の死亡の日から１年以内にその訴えを提起しなければならない（人事訴訟法41条1項）。　←　妻の相続権は害されないので，提訴権者ではないとする見解あり（内田）。 ◎←　嫡出否認の訴えは，夫が子の出生を知った時から１年以内に提起しなければならない（民法777条）。
イ	婚姻後200日以内に生まれ嫡出子として届け出られた子の父子関係は，夫が子の出生を知った時から１年を経過しても争うことができる。正しい。 (1808B) 《推定されない嫡出子》　婚姻後200日以内に生まれ嫡出子として届け出られた子の父子関係は，夫が子の出生を知った時から１年を経過しても争うことができる。 (1808B) 《推定されない嫡出子》 ※←　推定されない嫡出子であるので，親子関係不存在確認の訴えで争うことになるが，期間制限なし。
ウ	認知の訴えは，父の死後も３年間は，検察官を被告として提起することができる。正しい。 (1808C) 《認知の訴え》　【認知の訴え】は，父の死後も３年間は，検察官を被告として提起することができる（人事訴訟法42条1項）。 (1808C) 《認知の訴え》 ※←＝　認知の訴えにおいては，父又は母を被告とし，その者が死亡した後は，検察官を被告とする（人事訴訟法42条1項）。 ※←　子，その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は，認知の訴えを提起することができる。ただし，父又は母の死亡の日から３年を経過したときは，この限りでない（民法787条但）。
エ	嫡出推定が及んでいる子について，他の男性が認知をすることはできないが，子の側から認知の訴えを提起することはできる。誤り。 (1808D) 《嫡出子》　嫡出推定が及んでいる子について，他の男性が認知をすることはできないが，子の側から《認知の訴え》を提起する［必要はない］。 (1808D) 《嫡出子》 ※←　嫡出子（すでに嫡出推定が及んでいる者）を，さらに認知するということは無意味である。
オ	母子関係の存在を争う第三者は，母と子のどちらか一方が死亡した後は，訴えを提起することができない。誤り。 (1808E) 《親子関係存否確認の訴》　母子関係の存在を争う第三者は，母と子のどちらか一方が死亡した後も，訴えを提起することが［できる］（最判昭56.10.1）。 (1808E) 《親子関係存否確認の訴》 ※←　人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者以外の者が提起するものにおいては，特別の定めがある場合を除き，当該身分関係の当事者の双方を被告とし，その一方が死亡した後は，他の一方を被告とする（人事訴訟法12条2項）。 ※←　第三者が死者と生存者間の親子関係存否確認の訴を提起する場合においては，生存者のみを被告とすれば足り，死者について検察官を相手方に加える必要はない（最判昭56.10.1）。
	１　アイ　　　　　２　アオ　　　　　３○イウ　　　　　４　ウエ　　　　　５　エオ