民法

◎	委任の終了に関する次のアからオまでの各記述のうち，判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (1926) 【委任の終了】 **
ア	受任者の利益のためにもなされた委任において，委任者は，やむを得ない事由がなくても，委任者が委任を解除する権利自体を放棄したものと解されない事情があるときは，委任を解除することができる。正しい。 (1926A) 《解除》　受任者の利益のためにもなされた【委任】において，委任者は，やむを得ない事由がなくても，委任者が委任を解除する権利自体を放棄したものと解されない事情があるとき，【委任】を解除することができる（最判昭56.1.19）。 (1926A) 《解除》 ※←　受任者の利益のためにも締結された委任契約であつても，その契約において委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情がある場合は，委任者は，やむをえない事由がなくても，民法651条に則り右契約を解除することができる（最判昭56.1.19）。
イ	委任は，受任者が破産手続開始の決定を受けたことによって終了するが，委任者が同決定を受けたことによっては終了しない。誤り。 (1926B) 《破産》（共通）　【委任】は，受任者が破産手続開始の決定を受けたことによって終了する。　同様に，委任者が同決定を受けたことによって終了［する］（民法653条2号）。 (1926B) 《破産》 ※←　委任は，次に掲げる事由によって終了する（民法653条2号）。 ① 委任者又は受任者の死亡 ② 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。 ③ 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
ウ	委任は，受任者が後見開始の審判を受けたことによって終了する。正しい。 (1926C) 《後見開始》　【委任】は，受任者が後見開始の審判を受けたことによって終了する（民法653条3号）。 (1926C) 《後見開始》 ※←　委任は，次に掲げる事由によって終了する（民法653条3号）。 ① 委任者又は受任者の死亡 ② 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。 ③ 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
エ	委任者の死亡によっても委任は終了しないという合意は，有効である。正しい。 (1926D) 《死亡》　委任者の死亡によっても【委任】は終了しないという合意は，有効である（最判平4.9.22）。 (1926D) 《死亡》 ※←　民法653条の法意は，かかる合意の効力を否定するものではないから（最判平4.9.22）。
オ	委任の終了事由は，相手方に通知しなければ，相手方がその事由を知っているか否かを問わず，これをもってその相手方に対抗することができない。誤り。 (1926E) 《対抗要件》　【委任】の終了事由は，相手方に通知しない場合，相手方がその事由を知っている［ときでなければ：×~~か否かを問わず~~］，これをもってその相手方に対抗することができない（民法655条）。 (1926E) 《対抗要件》 ※←　委任の終了事由は，これを相手方に通知したとき，又は相手方がこれを知っていたときでなければ，これをもってその相手方に対抗することができない（民法655条）。
	１　アエ　　　　　２　アオ　　　　　３　イウ　　　　　４×イオ　　　　　５　ウエ