民法

◎	抵当権の法律関係に関する次の１から５までの各記述のうち，誤っているものはどれか。 (1916) 【抵当権】 **
１	抵当権が設定された建物を，抵当権者に対抗することができない賃貸借に基づいて使用する者は，競売手続開始前から使用していれば，建物の買受人が買い受けた時から６か月を経過するまでは，その建物の買受人への引渡しを猶予される。正しい。 (1916A) 《引渡しの猶予》　【抵当権】が設定された建物を，抵当権者に対抗することができない賃貸借に基づいて使用する者は，競売手続開始前から使用していれば，建物の買受人が買い受けた時から６か月を経過するまで，その建物の買受人への引渡しを猶予される（民法395条1項1号）。 (1916A) 《引渡しの猶予》 ※←　抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの（次項において「抵当建物使用者」という）は，その建物の競売における買受人の買受けの時から６箇月を経過するまでは，その建物を買受人に引き渡すことを要しない（民法395条1項1号）。 ① 競売手続の開始前から使用又は収益をする者 ② 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
２	登記をした賃貸借は，その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をすれば，その同意をした抵当権者に対抗することができる。誤り。 (1916B) 《同意の登記》　登記をした賃貸借は，その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意を［し，その同意の登記をすれば］，その同意をした抵当権者に対抗することができる（民法387条1項）。 (1916B) 《同意の登記》 ※←　登記をした賃貸借は，その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし，かつ，その同意の登記があるときは，その同意をした抵当権者に対抗することができる（民法387条1項）。
３	土地に抵当権が設定された当時，その土地に建物が築造されていた場合，その建物の所有者が，その土地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有しないとしても，抵当権者は，土地とともに建物を競売することはできない。正しい。 (1916C) 《建物の競売》　土地に抵当権が設定された当時，その土地に建物が築造されていた場合，その建物の所有者が，その土地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有しないとしても，抵当権者は，土地とともに建物を競売することはできない（民法389条1項）。 (1916C) 《建物の競売》 □←　抵当権設定時において，既に建物が築造されているから。 ※←　抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは，抵当権者は，土地とともにその建物を競売することができる。ただし，その優先権は，土地の代価についてのみ行使することができる（民法389条1項）。
４	抵当権が設定された不動産について，地上権の設定を受けた者は，抵当権消滅請求をすることができない。正しい。 (1916D) 《抵当権消滅請求》　抵当権が設定された不動産について，地上権の設定を受けた者は，抵当権消滅請求をすることができない（民法379条）。 (1916D) 《抵当権消滅請求》 ※←　抵当不動産の第三取得者は，第383条の定めるところにより，抵当権消滅請求をすることができる（民法379条）。
５	被担保債権の債務不履行後に，抵当不動産の所有者が，その後に生じた果実を収受しても，不当利得にはならない。正しい。 (1916E) 《果実》　被担保債権の債務不履行後に，抵当不動産の所有者が，その後に生じた果実を収受しても，不当利得にはならない（民法371条）。 (1916E) 《果実》 ※←　抵当権は，その担保する債権について不履行があったときは，その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ（民法371条）。　抵当権者の債権回収を容易にするため。
	正　解　　　２