民法

◎	先取特権及び質権に関する次のアからオまでの各記述のうち，誤っているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (2113) 【先取特権と質権】 **
ア	建物の賃貸人が有する不動産賃貸の先取特権は，賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。正しい。 (2113A) 《目的物の範囲》　建物の賃貸人が有する不動産賃貸の【先取特権】は，賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する（民法313条2項）。 (2113A) 《目的物の範囲》 ※←1 土地の賃貸人の先取特権は，その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産，その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。 2 建物の賃貸人の先取特権は，賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する（民法313条2項）。
イ	一般の先取特権を有する債権者は，債務者がその所有物の代償として支払を受けた金銭についても，先取特権を行使することができる。正しい。 (2113B) 《代償請求》　一般の先取特権を有する債権者は，債務者がその所有物の代償として支払を受けた金銭についても，【先取特権】を行使することができる。 (2113B) 《代償請求》 ※←　一般の先取特権には，債務者の総財産に対して及ぶので，物上代位は認められないが，目的物の代償ともいえる利益を受けている場合には，その限度で利益の償還を請求することができる。
ウ	質権は，譲り渡すことができない物についても設定することができる。誤り。 (2113C) 《質権の目的》　【質権】は，譲り渡すことができない物について設定することが［できない］（民法343条）。 (2113C) 《譲渡性》 ※←　質権は，譲り渡すことができない物をその目的とすることができない（民法343条）。
エ	不動産及び動産を目的とする質権設定契約は，目的物の引渡しによって効力を生ずるが，この引渡しは，簡易の引渡し又は指図による占有移転でもよい。正しい。 (2113D) 《質権の設定》　不動産及び動産を目的とする【質権】設定契約は，目的物の引渡しによって効力を生ずるが，この引渡しは，簡易の引渡し又は指図による占有移転でもよい（民法344条）。 (2113D) 《質権の設定》 ※←　質権の設定は，債権者にその目的物を引き渡すことによって，その効力を生ずる（民法344条）。 □←　質権者は，質権設定者に，自己に代わって質物の占有をさせることができない（民法345条）。
オ	質権により担保される債権の弁済期後であっても，質権者と質権設定者は，債務の弁済として質物を質権者に取得させることを合意することができない。誤り。 (2113E) 《流質契約》　【質権】により担保される債権の弁済期後に，質権者と質権設定者は，債務の弁済として質物を質権者に取得させることを合意することが［できる］（民法349条）。 (2113E) 《流質契約》 ◎←　質権設定者は，設定行為又は債務の弁済期前の契約において，質権者に弁済として質物の所有権を取得させ，その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない（民法349条）。（大判明37.4.5）。
	１　アイ　　　　　２　アエ　　　　　３　イウ　　　　　４×ウオ　　　　　５　エオ