甲は，Ａの過失による交通事故で死亡したが，甲には妊娠中の妻乙及び実父丙がいる場合についての次の記述のうち，「胎児は，相続及び損害賠償請求権については，死体で生まれることを解除条件として権利能力を認められ，胎児である間もその法定代理人が存在しうる。」との考え方

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(5811A) 《損害賠償請求》
※←　（民法条）。損害賠償請求権について，胎児のままでも権利能力が認められ，その法定代理人が存在しうるというのであるから，出生前においても，法定代理人によって請求権の行使が可能ということになる。

(5811B) 《遺産を分割》
※←　（民法条）。胎児も相続については権利能力を有するとする以上，出生前においても相続人たりうるのであり，したがって，乙と胎児とが共同相続人となり甲の遺産を分割することになる。この場合には，乙と胎児との利益が相反するため乙は法定代理人として遺産分割することはできず，特別代理人の選任を要する（§826�T）。

(5811C) 《和解契約》
※←　（民法条）。出生前の胎児も損害賠償請求権について権利能力者であり，その法定代理人が存在しうるというのであるから，乙は法定代理人として胎児の分についても有効に和解契約をなしえ，乙Ａ間の和解契約の効力は，当然胎児に及ぶ。そして出生しているのであるから，解除条件は不成就に確定し，契約の効力は失われることなくその者に及んでいる。したがって，設問の考え方にはそわないものである。

(5811D) 《相続の承認期間》
※←　（民法条）。胎児に相続についての権利能力を認め，かつ法定代理人の存在を肯定する場合，胎児は制限行為能力者であるから，相続の承認・放棄をなしうる期間は，その法定代理人たる乙が，胎児のために相続開始があったことを知った時から起算することになる（§917,§915�T）。したがって，設問の考え方にそうものである。

(5811E) 《死産》
※←　（民法条）。胎児が死体で生まれることを解除条件として，胎児に相続について権利能力を認めるというのであるから，条件成就によって胎児は相続につき権利能力をもたなかったということになり，結局丙が相続人であったこととなる。したがって,設問の考え方にそうものである。