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(5835A) 《相手方の了知》
※←　（民法条）。隔地者に対する意思表示の効力発生時期は，相手方への到達時が原則である（§97 I -到達主義の原則）。そして，この意思表示が到達したといえるためには，社会通念上相手方が了知しうる客観的状態が生じれば足り（相手方の勢力範囲に入ればよい），相手方が了知することは不要である。したがって，同居の家族に交付された場合には，たとえ本人がこれを了知していなくとも，到達が認められる。本肢の場合，乙は病気で入院しているが，妻が受領しているから，乙が了知しうる客観的状態が生じたといえる（乙の勢力範囲に入っている）。よって，乙への到達が認められる。

(5835B) 《発信後の死亡》
※←　（民法条）。意思表示は，表意者が発信後に死亡したり，行為能力を喪失しても，その効力に影響はないのが原則である（§97�U -ただし，§525はその例外）。これは，意思表示は到達時に効力を生じるが（§97�T ） ,意思表示そのものはその発信時にすでに成立しているからである。したがって，甲が乙に契約解除の意思表示を記載した書面を発信した後に死亡した場合でも，その後その書面が乙に到達したときには，甲の解除の意思表示は効力を生じる。

(5835C) 《同居人の受領》
※←　（民法条）。履行の催告は，意思表示ではなく，意思の通知（準法律行為）であるが，準法律行為にも意思表示に関する規定を類推適用すべきであると解されている。したがって，97条も類推適用されるべきである。よって, (1)と同様の問題となり，本肢の場合も，その到達を認めることができる。

(5835D) 《発信後の死亡》
※←　（民法条）。意思表示は，表意者が発信後に死亡したり，行為能力を喪失しても，その効力に影響はないのが原則である（§97 n)。ただし，97条２項の例外として，「契約の申込み」に関しては，�@申込者が反対の意思を表示したとき，または，�A相手方が申込者の死亡または行為能力喪失の事実を知ったときには，･申込みは無効（申込者が死亡した場合），取り消しうる（申込者が行為能力喪失の場合）ものとなる（§525)。本肢の場合，甲は契約の申込みの発信後到達前に死亡しているが，乙は甲の死亡の事実を知っていたわけであるから，申込みは無効となる。

(5835E) 《公示送達》
※←　（民法条）。「公示による意思表示」は，表意者が�@相手方を知ることができない場合，または，�A相手方の所在を知ることができない場合に認められる（§98 I)。そして，公示による意思表示は，最後に官報に掲載した日またはその掲載に代わる掲示を始めた日から２週間を経過したときに，相手方に到達したものとみなされる（§98�V本文）。ただし，表意者が相手方を知らずまたはその所在を知らないことについて過失があった場合には，到達の効力は生じない（§98�V但書）。