Ａが所有する土地について，Ｂを抵当権者とする抵当権が設定され，その登記がされていた場合。

**

**

(2315A) 《競売》
※←　抵当権が実行され，競売がなされると，不動産の所有者が買受人に抵当不動産を売却することとなるから，買受人は所有権に基づいて引渡しを請求することができる。

(2315B) 《土地の賃借人》
※←　登記をした賃貸借は，その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし，かつ，その同意の登記があるときは，その同意をした抵当権者に対抗することができる（民法387条1項）。
※←　抵当権者の同意及び同意の登記が得られていないため，抵当権者に対抗することができず，また，抵当権実行後，所有権を取得した買受人からの引渡しに対して賃貸借権を対抗することはできない（民執法188条、59条2項）。

(2315C) 《法定果実》
※←　抵当権は，その担保する債権について不履行があったときは，その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ（民法371条）。
※←　平成15年改正前は，法定果実たる賃料に抵当権の効力を及ぼすためには物上代位（民法372条、304条）の規定による必要があった。しかし，改正後は，被担保債権が債務不履行に陥りさえすれば，賃料債権などに対する差押えをしなくても抵当権者は賃料に対する優先弁済権を主張し得る。

(2315D) 《代価弁済》
※←　抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が，抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは，抵当権は，その第三者のために消滅する（民法378条）。

(2315E) 《一括競売》
※←　抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは，抵当権者は，土地とともにその建物を競売することができる。ただし，その優先権は，土地の代価についてのみ行使することができる（民法389条1項但）。